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運命とは奇なり⑨
そんな高嶺と運命を感じた蘭に尚も戸倉も興味津々に色々聞いてきた。
「でも運命の人があんな金持ちの人だったらちょっと萎縮しちゃうよね。
僕、普通の家庭に生まれたから余計に……。」
「確かに金持ちの世界って僕らには遠い世界だしね。」
「………。」
二人のそんな会話を聞いていた蘭は複雑な感情だった。
自分もその家が金持ちと言う人種だから。
この高校のβやΩは案外普通の一般家庭の出身だ。
ただ、半数は金持ちの家柄な為この学校もそれに合わせて相当な規模の学校だ。
勿論学費も凄い高額で偏差値も高い。
しかしながら名門校故に、将来は約束されたようなものだから高い学費でも将来を考えると安いものだと皆必死でここに入ろうとする。
二人が蘭が九条家の子息だと知ったらどう反応するだろうか?
そもそも九条家のΩの存在は九条一族は知られたくない存在らしい。
あまり表立って公表するのは命の危険すら感じるくらい疎ましいようで、出来るだけ九条家の人間とは知られないようにしている。
まぁだが、どうせ跡取りとなるのは兄だ。
自分は関係ないから誰かに言った所で影響は少ないだろうとは思うから二人には言ってもいいのかなと考える。
それに隠し事は好きじゃない。
「あのさ……、二人は俺があの九条財閥の人間だって言ったらどうする?」
そう恐る恐る伝えてみると二人は少しの間時が止まったように固まっていた。
そんな中で口を開いたのは戸倉だった。
「え、君はあの九条財閥の人?
でも君は………」
戸倉は戸惑った様子で口ごもった。
彼の言いたいことは容易く予想できる。
Ω嫌いの九条家に何故Ωの蘭がいるのか?
「別に俺の祖父がΩの人を好きになったってだけだよ。
で、その息子もΩで、その息子の息子、俺もΩってだけ。
それに跡取りは俺のαの兄だから表に出ないってだけで……」
上手く伝えたい事を纏められず言葉にしてしまったからちゃんと伝わっているか分からず取り敢えず二人の反応を伺うことにした。
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