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運命とは奇なり⑩
二人が自分の事をどう思うのかと反応を伺っていると尚が口を開く。
「あ、えっと………びっくりした、けど……
蘭君は蘭君だし、その……僕達の関係は変わらないから安心して?」
「……ほんと?」
「当たり前だろ?
君は大切な友達なんだから。」
二人の温かい言葉に蘭は思わず涙ぐむ。
良かった。
これで距離を置かれたらどうしようかと思った。
「でもまさかあの九条なんて思わなかった。
あ、でもそしたらもし、もしも蘭君がその高嶺の人と結婚したらとんでもない事にならない?」
尚が少し興奮気味にそう言った。
九条と高嶺。
両家は古くから日本を牽引する大企業でライバル。
面識はあれど今まで関わりを持ったことなど無い。
もしこれで両家がビジネスでも関わりも持ったとなれば世界的にも大ニュースとなるだろう。
その前に犬猿の仲だなんて噂まである両家だ。
相手は高嶺の御曹司で蘭は跡取りで無いにしろその弟であるため色々揉めるのではと今更ながらぼーっと思った。
「てか、あんな奴と結婚とか反吐が出る。
まず無いから安心してよ。」
あれとはもう関わる気も無いし兄二人も絶対に反対するだろうから問題無いだろうと言うと尚は少し言いづらそうにこう切り出した。
「……でもさ蘭君、一応運命の相手なんでしょ?
それに、発情期の事考えると少し話したりしてみるのも悪くないんじゃない?
だって、運命の人だよ?
こんなこと滅多に無いと思う。」
運命なんて信じてなかった尚は今の蘭を羨ましいと思うと同時に勿体無いと言う。
だって何かあるから魂が引かれ合うのだろうし、まだ互いが知らない何かがあるんじゃないかと尚は蘭に言う。
そんな尚の熱い言葉に少し戸惑ってしまう。
確かに何もなければこんなに身体が求める事もないだろう。
そう考えると彼の事を少しだけ知りたい気もした。
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