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運命とは奇なり⑦

そして授業の合間に二人が様子を見に来たのだが、未だに蘭の身体の疼きは治まっていなかった。 「ねぇ坂下、抑制剤が効くのってこんなに時間かかるの?」 同じΩでこう言う事情に詳しいであろう尚に戸倉が質問する。 「いや、普通ならもう大分治まって来るはずだけど個人差もあるし…… 蘭君、前からこんなに掛かってるの?」 尚がそう蘭に聞くが初めてなのにそんなの知るわけがない。 逆にこっちが聞きたいくらいだ。 「……俺、初めて…だから……」 「え、初めて?」 尚は少し驚いた。 だって大体が10代前半に始まるから。 尚達にはどうしようもなく養護教諭を呼ぶことにした。 戸倉もβとは言えフェロモンに当てられてしまったようで逃げるように部屋を出た。 「もしかしたら普通の抑制剤は効かない体質かな?」 駆けつけた養護教諭の男性がそう言った。 「稀にね、いるんだ。 そう言う場合は強い抑制剤を打つんだ。 ただ、副作用がきついからどうする?」 副作用… でも、この状況が治まるのならと蘭はその強力な抑制剤を了承した。 だが、思っていたよりも副作用はきつく、頭痛と吐き気、更には熱に魘された。 なんとか1週間乗り切ったが毎回こんなでは授業どころかまともに動く事が出来ないためやってられないと思った。 そんな蘭に養護教諭の先生がこんな事を言った。 「正直、番を作るのが一番だと思うよ。 そうすれば体質が変わって普通の抑制剤もきっと使えるようになる。 幸いここにはαの人間が沢山いるから考えてみて。」 番…… その言葉に蘭の頭にはあの不良みたいなαが浮かんだ。 ひと目見て運命だと思った。 だが、あんなに性格が合わないのだから仕方ない。 何故あれが運命なのか理解できない。 そんな話を尚と戸倉に話してみた。 「そうなの? 本当に存在するんだね。 運命の番って……」 尚は蘭の話しにビックリしていた。 運命などただの伝説や噂だと認識していた尚は興味津々な様子だった。 まぁでも、正直第一印象は最悪な為、これが運命と言われてもロマンもクソもないと蘭は幻滅する。 それを聞いた尚もそっか、と少し残念そうに苦笑した。

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