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止めどなき愛⑤

瑠依のベッドでいつの間にか眠ってしまった蘭は、朝寝苦しさで目が覚めると両脇から兄二人にがっしりと抱きしめられていることに気がつく。 未だぐっすりと眠っている二人から逃れようと動いてみるもびくともしない。 むしろ逃さないというように余計締め付けられた。 「ちょっと起きてよ。 重いって……」 「んん……?蘭起きたの? もう少し寝ててもいいのに……」 「いやだから重いってば‼」 そう訴えればあっさり開放してくれた。 昔からこれだ。 兄の体重の重さで目が覚める。 本当に愛が重たすぎる。 この日は家族揃って有給を取ったようで兄二人は蘭にべったり。 そんな中碧が蘭を傍に呼び、テーブルに着いた。 「お前の発情期だが、正直まだ対策は出来ない。 いくら首輪をしていても何が起こるか分からない。 だが、お前が後悔する番だけは作るな。 もしそうなれば、そいつを葬るだけの金と権力を最大限使うことになるからな。」 そう、恐ろしい言葉で脅されれば素直に頷くことしか出来ない。 やるといえば本当にやってしまう人だ。 母の希一も碧の脅しのような発言に苦笑いを浮かべるだけだった。 一応蘭への愛情からというのが分かってるから、何も言わない。 それに碧が暴走すれば雫が上手く対処してくれると言う信頼もある。 夕飯は前から予約を入れているイタリアンレストランで外食だ。 家族6人揃っての食事は中々出来なくなったからこう言う時間は貴重だ。 それから母方の祖父母の家にも行った。 「お祖母様、体調どう?」 「今はとても元気だよ。 ありがとう蘭。」 祖母である朔は昔から身体が弱い。 今は元気と言うが以前に比べ痩せてしまったし、入退院を繰り返すようになった。 あとどれくらいこうして話す事が出来るだろうか……… そして祖父、秀一は希一と碧と話し込んでいる。 恐らく蘭の抑制剤の事を話し合っているのだろう。 それから帰省中はずっと祖父母の家で過ごし あっという間に休日は終わりを告げ寮へと戻った。 また学校生活が始まったはいいが、結局抑制剤の副作用は何も解決はされてない。 正直憂鬱だ。

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