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縁(エニシ)②
ふわりと香る甘い匂い……
まさかこんなところで再会するなんて……
「なんでここにいるんだよ?」
目の前の気だるそうにしている高嶺に言葉を投げかけるとギロリと睨まれ、少し怯んでしまった。
「授業がクソみてぇにつまんねぇから寝に来たんだよ。
なのにうるせぇのがキャンキャン吠えるせいで眠れねぇじゃねぇか。
最悪……」
おい、それはサボりじゃないか……
そう言ったところできっと気にも止めないのだろうなと喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
すると高嶺は舌打ちをすると保健室を出ていった。
恐らく蘭のことが目障りだからなのだと思うが、慌てて彼を追いかけた。
「おい、高嶺……‼
おい、待てって‼」
「んだようるせぇ……
キャンキャン吠えるな。」
高嶺の嫌な言い方にカチンと来るがここはグッと堪える。
「なぁ、何処行くんだよ?」
「お前に関係ない。」
蘭の質問にも素っ気なく答えるが蘭もこれでは引かない。
「一応俺ら運命の番だろ?
少しくらい話ししてもいいだろ?
ちゃんと知りたい。」
尚に言われた。
運命なのに勿体無い……
まだ何も知らないのに何も知らないまま終わらせてもいいのだろうかと考えたとき、やっぱりそれではこの先きっと胸の中はつっかえたままだろうから蘭は勇気を振り絞って話しかける。
「……めんどくせぇ。
俺は話す事とかねぇよ。」
蘭の気持ちとは裏腹に高嶺はさっさとここを去ろうとする。
それを蘭は慌てて阻止しようとする。
「ちょっ、待てってば!!
何だよ、逃げんのかよ!?」
「人聞きの悪いこと言うな。
気付かねぇのか?
てめぇが今どんな状態か。」
「え?」
そう指摘され蘭は気付いた。
高嶺の目がまるで狼が獲物を狙っているかのようだと………
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