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縁(エニシ)⑦
高嶺が買ってきたコンビニの弁当を食べている蘭は目の前から送られる視線に箸を止めた。
「な、なんだよ……」
「別に……」
聞いてもそっけなく返されるだけでその後もチラチラと見られていて落ち着いて食事をすることができなかった。
それから暫く高嶺の部屋で疲れた身体を休め、そろそろ自室へ戻らないといけないと徐に立ち上がった。
「なんだ戻るのか?」
「まぁ、授業休んじゃったし遅れた分取り戻さないと。」
「ふ~ん………
まぁ、頑張れ。」
濃厚な1週間を過ごしたというのにあっさりとした態度にもう少し何か言ってくれてもいいのにと思うも、あまり別れを惜しまれても気持ち悪いので蘭もさっさとこの部屋を出た。
そしてこの日、午後からの授業に参加し久々に尚と戸倉と会話した。
しかし蘭に気を使ってか、発情期のこと、高嶺のことは二人から尋ねられることはなかった。
正直聞かれても答えづらかったので二人の気遣いに感謝した。
その放課後、三人一緒に寮へ帰ろうと歩いていると遠くに女子生徒に囲まれている高嶺を発見した。
相変わらずの人気に蘭はあんな性格の奴のどこがいいんだと呟くと戸倉が苦笑いを浮かべこんな事を言った。
「まぁ、一番は顔と家柄なんだろうね。
あと彼、あんな風にクールだから特定の誰かを作らないし、かと言って誰でも手を出すわけじゃないから高嶺 の花なんて言われてるみたいだし。」
「高嶺の花………」
確かにαであの容姿で家柄もいいとなれば彼と仲良くなるにも中々ハードルが高い。
それでも蘭は人柄が一番だと思うので彼にあれだけ群がるのは理解出来ない。
だけど、少しだけ垣間見た彼の気遣いや嗜好に本当は彼の素顔を他にも見てみたいと思ったのも事実だ。
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