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縁(エニシ)⑧

人集りの中心にいる高嶺を尚と戸倉と離れた所で見ていた蘭。 すると高嶺が蘭に気付くと然り気無く着いてこいと言うような目配せをした。 「何あれ……俺に……だよな? 行った方がいいのかな?」 「そうだね。 行くべきだと思う。」 ここで無視して後から何かされたのでは大変だと二人が蘭の背中を押す。 高嶺は自身を囲んでいる女子生徒達を着いてくるなと睨みを利かせると一人何処かへと立ち去るのを蘭は少し離れながら追い掛けた。 すると彼は寮の自室へ向かった。 ドアを開けると顔をクイッと動かし入れと促すから蘭は小走りで彼の部屋に入った。 「なんだよ。いきなり呼び出して。」 そう質問すると高嶺はその問いには答えず、チェストの引き出しから何やら取り出し蘭に差し出した。 「お前の忘れ物だ。」 差し出されたそれを見るなり蘭の顔はみるみる赤くなっていった。 彼が持ってきたのは紛れもない、蘭のパンツだからだ。 「な、なっ……」 「外で手渡すのは恥ずかしいだろ? 有り難く思え。」 確かに彼の配慮は反論出来ない。 寧ろ助かった。 少しの間考えた末蘭は癪だが高嶺に軽く頭を下げた。 「……ありがとう、ございます……」 「……何だよ、気持ち悪い。 誰だお前?」 「なっ、人が折角お礼言ったのに!! 俺だって一応礼儀とかは気にしますぅ!!」 素直な蘭に気味が悪いと不信な目を向ける。 高嶺はむくれている彼をじっと見つめ気になっていた事をぶつけた。 「お前さ、九条財閥と関わりがあるのか?」 「……え?」 まさかの質問に蘭は思わず固まってしまった。

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