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縁(エニシ)⑨

九条財閥と関わりがあるのか……… 「なんで、そう思うんだ?」 高嶺の疑問に蘭はそう質問を返した。 「別に、お前の所作見ててそう思っただけだ。」 蘭の言葉にはあまり品を感じないが、食事の時や今みたいなお礼の仕方など随所に財閥の人間としての礼儀やマナーの良さを感じた。 けれど今までその事実を確定することは出来なかった。 「九条家っつーのはΩ嫌いだと聞いていた。 だから確証が無かったが、お前俺と同じ匂いがする。」 「……お前みたいな不良と一緒にするなよ。」 「否定しねぇってことはやっぱそうか。 ま、どうでもいいんだがな。 ただあの九条一族にΩがいるとは思わなかった。」 高嶺の言うように九条一族はΩ嫌いだ。 未だにΩが表舞台に立たせて貰うことは出来ない。 それは、両親である碧と希一の結婚の条件にΩの存在を世に公表しないと約束させたから。 碧は反発したが、祖父である秀一があまり事を荒立てるのも逆に希一の立ち場が悪くなると条件を飲んだのだ。 だからの中で蘭だけが表には知られていない、存在しない人間なのだ。 その悔しさはきっと誰にも分からないし、知られる事も無いだろう。 「どうせ俺はΩだよ。 そんなに悪いのかよ…… 俺は、好きでΩになった訳じゃない!!」 父も兄も姉も、自分をとても大切にしてくれるし、Ωだからと偏見を持つこともしない。 だからこそ苦しくなる。 こんなに大切にしてくれるのに感じてしまうαとの差に嫉妬してしまう。 どうして兄弟の中で自分だけがΩなのかと。 でも誰にも言えないし、誰も責められない。 分かってる、けど……

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