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息子さんを下さい

これは碧がパーティーで希一にプロポーズした後のこと。 日を改めて希一の実家に挨拶に二人一緒にやって来た。 「碧さん大丈夫ですか?」 「だ、大丈夫だ。 問題ない………」 見るからに緊張している碧に希一は声をかけるが、余計に緊張してしまっているようで言動が固い。 なんせ希一の父は今や九条家当主だ。 もしここで機嫌を損ねてしまったら希一との結婚どころか、九条家からも追い出されてしまうのではと碧は夜も眠れなかった。 そしてついに玄関のドアが開かれた。 「ただいま母さん。」 「おかえり、希一。」 出迎えてきたのは希一の母だった。 碧は希一の母親が男のΩだとは聞いていたが実際(まみ)えるのは初めてで、第一印象は儚げなきれいな(ひと)だと思った。 すると彼は視線を碧に移すと微笑を浮かべた。 「君が碧君だね。いらっしゃい。 さぁ、中に入って。」 「あ、は、はい……」 希一の母、朔に促され二人は家の中に入る。 リビングに行くと秀一に出迎えられ一気に体が強張った。 相変わらずオーラが凄い。 「あ、あの……」 「先ずは座りなさい。 話しはお茶を飲みながらゆっくりしようか。」 「は、はい…… あ、これ、つまらない物ですが……」 碧は思い出したように持参した手土産のマカロンを渡した。 「わざわざありがとう。 折角だから頂こうか。」 秀一は朔に土産を渡し 緊張しまくりの碧を落ち着かせるように柔和な笑みを浮かべ着席を促しす。

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