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息子さんを下さい③

秀一と朔に深々と頭を下げた碧。 「頭を上げなさい。」 秀一のその一言が出るまで一体どれくらい経っただろうか? いや、ほんの一瞬だったかもしれない。 けれど、その瞬間が永遠のように感じられる程に緊張していた。 「……こう言うと親馬鹿だと言われるかもしれないが、希一は、本当にいい子に育った。」 「父さん……」 秀一が今までの事を振り返るようにポツリポツリと語り始めた。 「いい子だか、反対に自分を押し込める様な子でもある。 だからギリギリになるまで我慢してボロボロになる。 私はね、当たり前だが息子に幸せになってもらいたい。」 「はい。」 「傷付けたと先程言った君を私は許さない。」 「はい。」 「父さん!!」 碧に許さないと言った父に希一は立ち上がるが秀一は真っ直ぐ碧を見たまま動じない。 碧もまた秀一から目を反らさない。 「けれど希一はあの日、君から貰った指輪を嬉しそうに触れていたのを目の当たりにして私は、君なら大丈夫だと思った。 だから、希一を幸せにしてくれ。 それだけだ。」 「はい。」 秀一の願いに碧は短く返事をした。 けれど、短くとも力強く、覚悟を示した返事だった。 それから打って変わって、和やかな雰囲気になった。 とは言っても主に碧への質問が両親から飛んだ。 好きな物や将来の夢、更にはいつから希一と付き合っていたのかや、朔から希一のどんなところが好きなのかなど質問され碧は終始緊張しっぱなしだったのだが………

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