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確執
自分の気持ちを伝えたあの日から壊れたまま……
「ねぇリア、もういいだろ?
折角碧が連絡をよこしてくれたんだ。
会いに行こうよ。」
「……」
あのプロポースをした日から碧は両親とは一度も会っていない。
母、リアが未だに許していないから……
けれど父、広実 とはたまに連絡を取っていた。
そしてつい最近、双子の男児が生まれたと広実に碧から連絡があった。
一人っ子の碧だからリアと広実にとって待望の初孫であるが、リアは頑なに会いに行こうとはしなかった。
「Ωの子供になんの価値があるの?
冗談じゃないわ。」
「リア……」
α至上主義の彼女は例え孫がαでもどうしてもΩの血を引くことが嫌だった。
そんな彼女に広実は頭を抱えた。
彼は九条家の人間だがそれほどΩを嫌悪しているわけではなかった。
確かに最初は驚いたしΩと結婚は如何なものかとは思ったが、息子が選んだ相手だし、お陰で当主になるという目的が大きく近づいたし、何より息子が幸せならそれで良かったと思うようになった。
「じゃあ、僕だけ会いに行ってこようかな?」
「勝手にしたらいいじゃないですか。
全く、九条家の人間が聞いて呆れますわ。」
不機嫌丸出しに言われ広実はたじたじだ。
こうなってはあまり刺激しない方が身のためだとこれ以上何も言うことはなかった。
それから一月程経った頃、広実は久々に碧と会える事となった。
「やぁ、久しぶりだね。」
「久しぶりです、父様。」
一体何年ぶりだろうか?
一目見た時に随分逞しく育ったなと思った。
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