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変化①

離れたくても離れられない関係を腐れ縁と言うのならそうなのだろう。 好きか嫌いかと聞かれれば嫌い。 人の心を抉るような事をずかずか言うし、態度もムカつく。 なのに、身体は運命だと反応するから離れるに離れられなくなった。 だけど、少しだけ垣間見たあいつの本質に心を動かされたのも事実だ。 これがいつか腐れ縁ではなく本当の運命に変わる日は来るのだろうか___? あれから蘭は高嶺と何か進展があったかと問われると、実は殆ど何もない。 何故なら高嶺の熱狂的なファンが大勢いる中、Ωである蘭が会話でもしようものなら何をされるか分かったものじゃない。 だから必要以上に接触もなかった。 そんなある日の放課後、蘭は校舎裏の隅のところに一人ひっそりと居た。 「よしよ~し」 しゃがみこんだ蘭の足元には真っ黒な猫が撫でられてゴロゴロと喉を鳴らしていた。 「可愛いなお前」 この黒猫、どこからか侵入してきたようで最初は蘭を警戒していたものの、少し離れたところから態勢を低くしてずっと話しかけていたら段々と懐いてきた。 今じゃこうやってベタベタに甘えてくるようになった。 「何してんだ?」 すると突然後ろから声をかけられ驚いて思わず心臓がドキッと跳ねた。 聞き覚えのある低音ボイスに後ろを振り返ると、案の定高嶺がそこにいた。 「……なんでいんの?」 「いちゃ悪いのかよ?」 「……」 高嶺は蘭の足元にいる猫の傍に来てしゃがみ込み、手を差し出すと猫はくんくんと匂いを嗅ぎ、手にすり寄った。 ゴロゴロと喉を鳴らしニャ~と甘える猫に高嶺は可愛いなと優しく笑った。

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