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変化②
猫を可愛がる高嶺に蘭は、これがよくある不良が子猫を助けるところに遭遇して、そのギャップにトキメクというみたいな奴かと不覚にもその罠に掛かってしまった。
「……なんだよ?」
じっと見つめていたら睨まれた。
「いや……
てかこの猫、野良だけどお前いいのか?」
「は?何が?」
「いや、前、俺が小学生の時さ、野良猫見つけて触ってたら友達が、野良は汚いからペットショップの子しか触っちゃダメって親に言われたんだって。
まぁ病気持ってるかもしれないから間違ってないけど、裕福な家の子って皆そんな感じだったから……」
金持ちの家庭の多くが野良の犬猫や子供が泥んこになって遊んだりなど、そう言う汚れた物に酷く嫌悪していたから自分が変なのかと思っていた。
「そりゃただの成金なだけだろ。
ああ言う家は変にプライド高いからな。
うちはそんなこと言われたことねぇよ」
そう答える高嶺の足元では猫が寝っ転がって寛いでいる。
まぁ確かに、彼を見ていれば自由気ままに育ったんだろうなと思う。
「にしてもこいつ、結構痩せてんな。
ちゃんと食ってんのか?」
高嶺は猫の腹を触りながらそう言う。
この猫、成猫と比べると小さい気がするからまだ子供なのだろうか?
だからかちゃんと餌を取ることが出来ずに痩せているのかもしれない。
そう言えば親猫も見当たらないから、もしかしたら病気か事故で失くしたのかもしれない。
「いっそ飼い主探した方がいいかな?」
「そうだな。
けど、その間どうすんだ?
寮じゃ飼えねぇし」
ご尤もだ。
飼い主を見つけるまでは面倒を見なければならない。
でもここでは無理だ。
「……実家に聞いてみる。」
取り敢えず、明日は土曜日で授業は午前中で終わる為、もし家に置いておけるなら午後から帰ろうかなと思う。
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