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変化③

両親や兄、姉がいいと言うのなら飼い主が見つかるまで猫を預かって貰おうと蘭は考える。 「……つーかさ、もしお前ん家が預かれるんならそのまま飼えねぇの? 飼い主探しとかめんどくせぇ」 「……うーん。 まぁ………」 その通りだ。 折角懐いてくれたし家で飼えるならその方が手っ取り早いが……… 「俺さ、7歳か8歳くらいの時子猫拾ったんだよ。 親猫が道路で車に轢かれたかで死んでて、その横にちっちゃい子猫が数匹いたけど、一匹しか生きてなくて……」 幼い頃拾った子猫。 せめてこの子だけでもと、動物病院に連れて行ったりしたものの結局助からなかった。 「しかも飼ってる馬も寿命だけどその後に死んじゃって動物飼うの嫌になったんだよ。」 かつて希一が中学生の頃、希一の父、秀一に買って貰った愛馬が寿命で亡くなった。 蘭も凄く可愛がっていたから猫の件もあり、ショックで動物を飼うことがしんどくなってしまった。 「そう言うお前の家は猫飼えないのか?」 「別にいいけど、うち犬いるからな。 大型犬」 「え、マジで? 何の犬?」 「ボルゾイ」 「ボルゾイ!!」 彼ならシェパードやハスキーをイメージしていたから優美なボルゾイだとは思わなかった。 「てか高嶺って狼犬とか飼ってそう。 あとは土佐犬とか絶対服従させて飼い慣らしてそうなんだよなぁ」 「お前俺にどんなイメージ持ってんだよ。 そもそも母親が勝手に連れてきたんだからな?」 母が知り合いに子犬が生まれたから貰って欲しいと言われたそうだ。 最初引き取るつもりは無かったのに実際会ってみたら堪らず連れ帰ってしまった。 「うちで飼う運命だのなんだのって3年前に引き取って今でもしょっちゅう写真送ってきやがる」 「え、写真あんの? 見せて!!」 蘭が見たいとせがむので仕方無くスマホを取り出し写真を見せた。 そこには真っ白で美しいボルゾイの犬が写っていた。

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