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魚心あれば水心②

「いい子だ」 高嶺が投げたフリスビーをカイルがキャッチして持ってくる。 これを何度か繰り返した所で蘭が自分もやりたいと言う。 「ああ、いいぜ。 じゃあ、俺が投げたやつ取ってくるか?」 「おい!!誰が犬役やるなんて言ったよ? ほんっとそう言うところ……!!」 蘭を誂う高嶺はふっと鼻で笑うとフリスビーを蘭に渡した。 「えっと……どう投げるんだ?」 初めてフリスビーを持った為投げ方がイマイチ分からない。 だが、カイルは早く早くと待っているので取り敢えず投げてみると1メートル程飛んで落ちた。 「あれ……?」 「ははっ、へったくそ。 しかも地面にぶっ刺さってるし。 うける」 「うるさい!!」 蘭の投げたフリスビーは一直線に地面に向かって刺さっている。 それでもカイルはそれを拾って持ってきた。 「もっと上に投げるように飛ばせ」 「……分かった」 高嶺にアドバイスを貰い今度は上に向かって投げてみる。 今度こそいい感じに飛んだ感触がする。 しかし、カイルは途中まで走ってうろうろと探すように歩き、戻ってきてしまった。 「……あれ?」 フリスビーは何処へ行ってしまったのだろうか? 辺りを探すも何処にもない。 「おい、あっち」 「え?」 高嶺の指差す方を見ると、なんと後ろ遠くに落ちている。 これにはカイルも戸惑っている。 「どうやったら後ろに飛ぶんだよ……」 「うるさい……」 これではカイルの遊びにならないので、仕方なくボールで遊ぶ事にした。

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