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三、好きな人の精液は苦い 前
「…っ…ァ、…あ、ぁ…っん…」
僕は掴むところもない壁に必死に縋った。もう膝が立たないくらいガクガクと震えてたけれど、柊さんは屈むことを許してくれなかった。
柊さんの長くてスラっとした指がペニスに絡みついて、上下に扱いてくる。たまに鈴口をぐりぐりとされて何度イキかけたか知れない。
「ヌルヌルじゃん」
柊さんは意地悪にそう言ってくるけど、竜ちゃんとするよりも気持ちよくて、ペニスの先から恥ずかしい液がどんどん出てきてしまってるのが自分でもわかった。それは竜ちゃんの時とは違って、柊さんが後ろの気持ちイイところを刺激してるから。
気持ちよくなるツボなのかもしれない。二人でするときはそのツボを刺激するといいらしい。
「…しゅう、さ、ンっ……ああ…っ…でるっ…!」
余りにもそのツボが気持ちよすぎて、頭が真っ白になった。シャワー室の壁と床に精液を飛び散らせてしまった僕は立っていられず床に頽れた。
柊さんに腰を持たれて引っ張り上げられるけれど、僕は起き上がれず、お尻を高く上げたような格好になってしまう。
「次、俺な」
「…ま、まって……は、ぁ…」
柊さんのを僕が、と思うけれど、体に力が入らない。二人でするってこんなに気持ちいいんだ…。
「そのままでいいから」
柊さんが僕の背中に覆いかぶさってきて、耳元で優しく囁いた。そして、ゆっくりと僕の項を温かい何かがツツツとなぞった。
「気持ちよくしてやるからな? 碧」
名前を呼ばれて、ゾクゾクっと鳥肌が立った。
この感覚、イッた時みたいに気持ちよくて力が抜ける。そうか、このゾクゾクって気持ちがいいってことなんだ…。
けれど、グッてお尻の方に何かが押し当てられて、僕は残念な気持ちになった。やっぱり竜ちゃんと同じで、痛いことするんだって。気持ちいいっていうのはウソなんだって思いながらその圧迫感に僕は唸った。
でも、その考えはすぐに打ち消された。柊さんが圧してたツボにそれが押し付けられると、僕はもう口を閉じられなくて、涎を垂らしながら、声を上げることしかできなくなった。
「あー…、アッ、ア……ん、ぁあ…」
「はぁ、すげぇイイ。な、言った通りだろ?」
「…う、ンっ…ぁ、あ…きもち、ィっ…」
何度も何度もリズミカルにツボを押してくる柊さん。その上、ジンジンと腫れた僕の乳首を引っ掻くように刺激してきた。思わず「やめて」と叫んでしまうぐらいに全身が感電したみたいな衝撃を受けた。勿論実際に感電したことはないけれど。
「マジ感じやすすぎ」
ツボを擦られると同時に乳首を引っ掻かれる度に僕のペニスの先からトロッとした液体が溢れ、ポタポタと音を立てて床を濡らした。
「ん、あぁ…あ、…また、…またっ…――ぁああっ!」
「はぇえって、俺、もう少しかかるわ」
「…ひ、ぁっ…ん……まっ、てぇ……ぁ、ぁあ、ん…」
ずっとイッた時の感覚が続くような快感から逃れたくて必死に身を捩ったけれど、柊さんが僕の腰を掴んで離してくれなかった。
ツボ以外にもお腹の奥の方も気持ちよくて、僕はどうにかなりそうだった。
柊さんが僕のお尻をパンパンと音を立てて叩きながら、息を弾ませていた。どうやって気持ちよくなってるかは分からなかったけれど、柊さんの掠れた喘ぎ声は色っぽくて僕は興奮した。
だって、あのいつも余裕な柊さんも呼吸を乱すぐらい気持ちいいことが好きだってわかってすごく嬉しかったから。それに柊さんと二人で気持ちよくなれてると思うだけで、嬉しくて堪らなかった。
「…ぅ…イク…っ」
激しくお尻に何かがぶつかってくる中、僕は狂ったように啼くしかなかった。
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