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八、…二人ひとりエッチはセックスだった 後

「…?」  意味を測りかねて、僕は首を傾げた。ローションを掌に垂らした柊さんに「掴まれよ」と首に掴まるように言われて僕はその通りにする。そうすれば、柊さんのローションに濡れた長い指が中に入ってきてツボを押した。 「ああっ…!」  全身を快感が駆け抜ける。ヌチヌチと音を立てながら、柊さんの指が気持ちイイところを擦ったり押したり挟んだりする。気持ち良過ぎて、口を閉じることも忘れて喘いだ。 「…あ…ァ、ああ…ん…ぁっ…」 「碧…」  柊さんの指が抜けていく感覚がする。刺激がなくなり、喪失感に苛まれる。柊さんの名前を呼ぶけれど、柊さんは特に反応せず、僕をベッドに仰向けに転がした。そのまま膝を掬うように持ち上げられた所為で、僕の恥ずかしいところが全部柊さんの目の前に晒される形になる。羞恥心を感じて柊さんを助けを求める様に見上げるけれど、柊さんは冷めた目で僕を見下ろしていた。   「柊さん…?」  問いかけにも答えず、僕のお尻に腰を近づける様にずり寄って来る。不安ながらも、何が起こるのかと様子を見ていた。いつもは二人でしている時には見えない場所だから、興味深くもあり眺めていた。  柊さんが勃ち上がったペニスを前に寝かすように倒して、僕のお尻に擦りつける。  僕はその時、ハッとした。  その熱くて堅い感触はいつもお尻に触れているものと同じものだったからだ。その熱いものがいつもの場所に押し付けられ、ジワジワと押し入ってくる。   「…ま、まって…っ…」  これって、どういうことだろう。今までもこうしてペニスを入れていたのだろうか。足を抱えられ、ペニスを挿入される。今の僕の姿はまるで、竜ちゃんに見せられたAVというセックスを映した動画に出てくる女優さんのようだった。  僕は驚いて上半身を起こし、柊さんを押しのけようとした。でも、高く足を持ち上げられて、体を起こしたまま踏ん張れず、またゴロンと横になってしまう。 「しゅう、さ——あああ…ッ!」  柊さんは何を思ったのか、僕の中を突き上げるようにしてペニスを一気に収めてしまう。ツボを抉るように中に入ってきたせいで、一瞬意識が飛んだような感覚を味わう。  ふわっとしていた意識が戻ってくると、僕は混乱せざるを得なかった。こんなの、こんなのセックスみたいじゃないか。どうして? セックスは未成年だとできないのに! 「あ、ああ…や…だめ、だめだよ…。離して…!」 「碧。これはセックスだ。俺たちはずっとセックスしてた」 「…だめ…だめ…」  僕はひたすら首を振った。セックスはしちゃダメなんだ。しちゃダメなんだ。体を離そうにも、踏ん張る所がなくて、足をバタバタさせるだけになってしまう。  柊さんはそんな僕の腰を掴んでゆっくりと離れていく。ペニスの抜けていく感覚にホッとした。けれど——、 「——ああぁっ…!」  一気にペニスを突き込まれて、快感と混乱が僕の中を駆け巡った。 「ひ、ぃっ、ぁあ…っ!」  奥の気持ちいいところに固く勃ち上がった性器を打ちつけられ、頭の中が快感で染まっていく。 「…や、やああ、あ、ああっ」  やめて。やめて。  柊さんの腕を掴んで必死に首を振る。泣きついても、やめてと叫んでも、柊さんは行為を辞めなかった。  揺すぶられて気持ちいいのに、なんだか心はとても虚しくて…。  どうして…。  どうして…? 「やめてって言うくせに気持ちいいんだろ? 無理矢理してる俺の事も好きってことだよな? 碧」  やはり怒らせてしまった? でも何が悪かったのか僕にはさっぱり分からなかった。柊さんの気持ちが全く分からなかった。  でも、嫌だ。柊さんに嫌われたくない。お願い、柊さん。僕のことを嫌いにならないで…。  ボロボロと涙がこめかみを伝って零れていく。 「…ごめんな、さ…い…ッ…!」 「…っ…」  急にぴたりを動きを留めた柊さんの息を呑む音が聞こえた。そろりと見上げれば、柊さんは苦渋の表情で僕を見下ろしていた。 「くそっ!」  僕の顔のすぐ横に拳を叩きつけて、ぐっと僕に覆いかぶさってくる柊さん。柊さんの水滴を纏った髪が顔を撫でる。 「……碧…おまえは悪くない。おまえの中から北條の言葉が抜けねぇ。それが……」  ——それが、悔しいんだよ…。    そう、思い詰めたように柊さんは掠れた声を零した。

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