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十、気持ちよすぎるのは辛い

 僕がぼうっと見上げていると、柊さんはふっと笑いを零した。 「それと…、セックスは突っ込むだけじゃない」  柊さんの唇が降ってくる。たまにチュって唇を吸われて甘噛みされると、快感が腰を通り抜けてどんどんペニスに熱が集まってくる気がする。  さらりとわき腹から胸にかけて撫でられ、柊さんの指が僕の乳首を掠める。ピリッとした刺激で体が跳ねた。  何度か転がされて立ち上がった乳首を抓まれれば、キスの快感も合わさって、頭の奥がジンジンと痺れ、声が勝手に漏れてしまう。 「ここ、気持ちぃ?」  耳元でそう囁いた柊さんの唇が首筋をなぞる。 「…ん…気持ちいぃ…ぁっ…」  柊さんが触れるところから次々と気持ちよさが湧き出てきて、どうしていいか分からず、僕はシーツをぎゅッと握りしめた。 「あ、あ…っ…やぁ…」  僕の体の上を滑っていた柊さんの唇が僕の乳首を捕らえた。舌で転がされて、カリって噛まれる。僕は体中を駆け巡る処理しきれないほどの感覚に身を捩った。気持ちよくて辛い。そんなふうに感じるなんて信じられなかった。  柊さんの指と唇が体中を這って、その気持ちよさに僕は涙を流した。 「…柊、さん…おねがい…もう、僕…出したい…」 「碧…ぐちょぐちょだな…」 「…やっ…」  僕のペニスはお腹に貼り付くくらい立ち上がっていて、その恥ずかしさに僕は自分の性器を手で隠した。  でもその手は柊さんに退けられて、僕の性器に柊さんの長い指が絡んだ。ゆっくりと上下に扱かれれば、粘着質な音が上がって、一層恥ずかしさが増す。でも気持ちよくて、快感を追うように目を瞑った。 「さっきイッたし、ちょっと我慢しとけよ」 「あ…だめ…いきたい…っ…」  もっと擦って欲しくて、僕は動きを止めた柊さんの手に性器を擦りつけてしまう。 「…エロ…。天然かよ…」  そう呟いた柊さんと目が合う。柊さんの目には穏やかさはなく、どこか肉食獣のような獰猛さが宿っていた。その眼差しが僕を射れば、ドクリと心臓が跳ねる。その瞳に釘付けになる。  惹きつけられる様に顔を寄せ、唇が触れる。触れるだけのキス。 「俺のも触ってみる?」  口端だけで笑った柊さんに手を取られて、柊さんのペニスへと導かれる。僕の指が触れるとピクリと跳ねたような気がした。促されて握るように包めば、どくどくと脈打つのがわかるぐらい柊さんの性器は張り詰めていた。 「なぁ、碧…おまえん中入りたい。いい?」  最近穏やかだった柊さんから放たれる怖いくらいの色気が僕を刺す。僕の背中はずっとゾクゾクと粟立って、おかしくなってしまいそうだった。  「ぁ……ぃ、入れて…欲しい…」  僕の答えと共に足が持ち上げられて、柊さんの熱く立ち上がった性器がお尻に触れた。入ってくる。その期待に体に力が入る。  「力抜けって」という声と共に口づけされて、キスで気が逸れた所で柊さんがぐっと腰を突き入れた。それからゆっくりと中を割るように入り込んでくる。柊さんの熱を感じる。皮膚を通さない直に感じる熱。  どうしよう。今までとは違う、例えようもない感覚。さっき手で触れた柊さんの性器が入ってきていると思うと、酷く昂りを感じた。なにか抑えきれない感情と一緒に涙が溢れでた。 「…なんて顔、してんだよ」  言われて柊さんの顔を仰げば、柊さんは少し困ったような顔をしていた。  僕は今どんな顔をしているのだろう。そんなことを考えていると、柊さんが僕を突き上げた。一気に奥の気持ちいいところまで到達し、目の前に火花のような光が散る。 「わり…、我慢できねぇわ」 「…あ、あぁッ…しゅう、さ…ああ…!」  素早く引き抜かれたものがまた最奥を穿つ。衝撃で上にずれた体を引き寄せられて、また奥に性器を叩きつけられる。何度も繰り返されれば、頭の中が真っ白になる。僕を揺さぶる目の前にある体にただ縋りついて、ずっとずっと嬌声を上げ続けた。

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