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「そんなの、俺がわかるわけねえだろ…。」 「俺はわかるよ。あいつは俺が死んだ後、しぬほど泣く。」 泣いて泣いて…、枯れる事のない涙を零しながら、刻を刻むんだ。 「お前は耐えられるか?好きなやつが、ずっと泣きながら生きていく事…。俺は、耐えられねえ。だから、逃げた。」 死ぬのが怖いとか、そういう事じゃない。好きなやつを残して死ぬのが、怖いんだ。 「我儘言ってる自覚はある。馬鹿な選択だって罵ってくれても構わねえ。 でも、頼む。これだけは…、琥太郎に言わないでくれ。」 この日、出会ってから初めて千都世に頭を下げて頼み事をした。 そんな俺を見て戸惑った千都世は、何か言いたそうな顔をしつつも了承してくれた。 「…お前は本当に、馬鹿なやつ。」 他愛もない話をして、別れ際、千都世はどこか悲しそうな顔で呟いて、帰って行った。 何だかんだ、千都世とも長い付き合いになる。あいつも、帰ってから泣いてくれるのかなぁ…なんて。 「俺は嬉しいよ。お前がそばにいてくれて。」 …今はまだ、だけどな。 千都世と病院で会ってから数週間後、大学に、悪い噂が流れ出す。

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