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「ねえ、聞いた?春川くんの噂。」 「聞いた聞いた〜!あれでしょ?急に合コン来るようになって、毎回お持ち帰りしてるんでしょ〜?」 「そうそう!絶対恋人と別れたからだよね!」 「じゃなきゃ来たりしないって!顔いいし、みんな狙いまくりだよぉ!」 キャッキャッとはしゃぐ女子を横目に、俺は食堂を後にする。 「ねぇ〜春川くぅん、今日は、私とデートするんだからねっ!」 「あっ、ずるーい!私も約束してたのにぃ!」 「お前らうるせえ…。」 俺の周りに女子が集るようになった。 女が絡むと、必ず出てくるのは男。寝取っただのなんだのと殴り掛かってくるやつもいる。 喧嘩は慣れてるから一人で対処できるけど、お陰で今の俺のレッテルは最悪だ。 「ねぇ〜どっちとデートするのよ!」 「私よね?春川くん!」 「どっちともしねえよ。俺は帰る。」 「「え〜!!!」」 寄ってくるのも頭悪い女だしな。 だけど、それでいい。 これだけ大学内で広まれば、嫌でも琥太郎の耳に入るだろう。 「お前さ〜、毎度毎度いい加減にしたらぁ?」 「ううう、きもちわる…っおぇー。」 「はぁー、俺、お前の介護士じゃねえんだけど〜?」 噂は噂。 お持ち帰りが事実でも、ヤッてるとは限らない。…てか、今更俺に女は抱けねー。 「香水…マジムリ…。千都世、水くれ…。」 「…へーへー。」 千都世の家の便所前で座り込む事、数十分。 体調がマシになって顔を上げると、呆れた顔した千都世が立っていた。

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