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嫌われるなら、徹底的に。 少しの隙も与えてなんかやらない。 そう思って出た合コンに、立てた悪い噂。 「そういえば、如月?だっけ。お前に対して凄えキレてたぞー。」 流石に女にだらしなくなれば、千都世からも距離を置かれると思ったが、珍しく俺の思惑を見破り、今でも一緒にいてくれていた。 「あー?なに、如月と話したの?」 「いや?お前と女の噂聞いた琥太郎に、『アイツはドクズだッ!』って鬼みたいな顔して言ってたぜ〜ハハッ、よ!ドクズ!」 「んぁ〜そっか、いいぞもっと言ってやれ。」 「…病気でくたばる前に、刺されて死にそうだな、お前。」 「今更俺の死因なんて、なんでもいいよ。」 どうせ死ぬんだから、と俺は笑ったけど、千都世は笑わなかった。ノリの悪いやつだなと言おうと思ったが、なんか殴られそうな気がしたのでやめた。 でも、最低な事をして琥太郎から嫌われようとする俺のそばにいてくれてるのが、千都世で本当に良かったと改めて思う。笑えるのも、きっと千都世が一緒にいてくれるから……なんて事は、本人には口が裂けても言わねえけど。 「てかお前さー、女とホテル行って、どうやって言い訳つけて帰るわけ?」 「んー、飲みすぎた〜とか?あんまりしつこいとキスはするかなぁ…その後いい感じのセリフ言えば頬赤くして納得してくれるぜ。」 「えっ、『お前を大事にしたい…』とか?キモッ!春川キャラ違う!キモッ!!」 想像したのか、ドン引きで俺を見る千都世に若干イラッとしたが、自分でもキモいと思うので否定はしなかった。

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