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それからも、そんな感じでダラダラと過ごす。琥太郎に見せ付けるかのように女と歩いたり、合コンにも暇さえあれば顔を出した。
噂は有る事無い事引っくるめて、相変わらず一人歩きしている。まぁ、俺にとっては好都合だけど。
「あ?あれ、琥太郎じゃね?」
「ん?」
大学の中庭にあるベンチで飯を食ってた時、千都世が指をさした前方の窓に琥太郎の姿があった。俺と別れてから少し痩せたが、最近顔色が良くなった気がする。
「お、如月。あいついつも琥太郎と一緒にいるよな〜。」
「…そうだな。」
一人だった琥太郎の側に如月が駆け寄って、一緒に歩いていく。何かを話しながら、一瞬琥太郎が笑顔を見せた。別れてから初めて見た笑顔は少し弱々しさがあるが、そんな笑顔にも、きゅんと胸が鳴る。
可愛い琥太郎。大好きな琥太郎。酷いことをしているけど、俺は毎日お前に恋をしている。
「あ、こっち見た。」
「…っ、」
俺の視線に気が付いたのか、不意に琥太郎が振り向いて、目が合った。
「うわ、如月ボディーガードかよ〜!お前から琥太郎隠したぜ、今!」
如月も俺たちに気が付くや否や、琥太郎を窓際から遠ざけるように移動させ、鋭い目付きで睨んでから、早足で消えていく。
「…もう俺に関わらせたくないんだろ。」
琥太郎と、確かに合った目。
その目は、以前俺に向けられていた目とは全く違う、それはまるで……。
「…琥太郎、お前見ても感情表に出さなくなったな?ま、見えたの一瞬だけだけど。」
「わかりやすい性格は、変わってねえよ。」
「…失望と軽蔑って感じー?」
「まぁ、そんなとこじゃね。」
これが、俺が望んでいた結果。
わかってはいたつもりでも、やっぱり辛いな。
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