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Memory:11 Reminiscence

『春川は、ーーーみたいだな!』 俺と琥太郎が出会ったのは、高校生の時。 琥太郎が不良にカツアゲされているところを、俺がたまたま助けたのがキッカケだった。 「助けてくれて、ありがとう!」 可哀想だから助けたわけじゃない。 機嫌が悪くて、ムシャクシャしてて、とりあえず殴りたくて…そんな時、目の前に目障りだった集団がいたから殴っただけ。 「うぜえ、消えろ。」 幸せそうに笑う琥太郎に、正直ムカついた。きっと優しい両親に可愛がられて、大切に育てられたに違いない。 この日は舌打ちをして、その場を後にした。 「あ!いた!」 「あ?」 翌日、もう二度と話す事はないと思っていたが、琥太郎は俺を見つけては駆け寄ってきた。 最初は冷たく遇らっていたが、懲りずに話しかけてくる琥太郎に根負けし、いつしか二人で過ごす時間が増えていった。 「春川はさー、なんで喧嘩すんのー?」 「別に。なんかスッキリするから。」 「えー!そんなんでスッキリするなよなぁ!」 そう言って困ったように笑う琥太郎を見て、俺なんかが一緒にいていいのかと、初めて人の事を考えて、悩んだ。 「俺は、お前が思ってるよりずっと汚ねえ人間なんだよ。だから、もう関わんな。」 小学生の時、多額の借金で両親が蒸発。中学卒業までいた施設は、虐待やイジメは日常茶飯事で、俺は人間不信になり性格も歪んでいった。 金に困るのは懲りたから、将来まともな生活を送るために、必死こいて勉強して、万引きや窃盗を繰り返し金を貯め、高校に入学した。 そんな人間が、琥太郎の側になんかいてはいけない。 「お、俺だって、汚い人間だよ…。」 「あ?そんなわけ…」 「春川のこと考えてっ、ぬ…抜いたり、してるし…っ!!」 「は……?」 最初は、何言ってんだこいつって思った。 「えっ?だから、俺も春川のこと考えたら、なんか…、頭ん中、すげえ汚くなる……。」 「……っぶは!」 「え…?」 「っあはははッ!」 純粋な琥太郎は、遠ざけるための言葉を告白と勘違いした挙句、突然カミングアウトしてきた。それがおかしくて、涙が出るほど笑う。 「んっ?ふふ、春川なんで笑うんだよ?」 笑う俺に釣られて笑いながら、小首を傾げる琥太郎に、胸が高鳴った。じわじわと顔が熱くなり、俺の中の世界が急に輝き出した。 この瞬間を、俺は一生忘れないだろう。 「…お前の笑顔は、太陽みたいだな。」 気が付いたら、そう呟いていた。 自分でも引くほどクサイ台詞に、すぐに別の意味で顔が熱くなったけど。 恥ずかしさが限界に達して、忘れてくれと謝る俺に、琥太郎は言った。 「春川は、月みたいだな!」

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