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Memory:13

自分がしてきた事を無駄にしないために、全部捨てた。 「おーい生きてるか〜?はーるーかーわー。」 「う…んん…。」 琥太郎との思い出、携帯の中の記録…風景、生活、感情、その他諸々…全部。 「酒くさっ!お前、どんだけ飲んだのよ。」 そんな中、捨てても付いてくる奴が一人。 「っせーな…ほっとけや…。」 「春川よぉ、カーテン開けようぜ。」 俺を無視して、容赦なくカーテンを開ける千都世。引っ越し先も教えてないのに、どこから情報を入手したのか、ほんの数日で俺の居場所を見つけやがった。 「……眩しいから閉めろ。」 「ダメです〜!日光浴びねえといけないんだぞ!日が沈む前に光合成しろ、光合成!」 「…俺は葉っぱか…バカタレが…。」 荒れた日々を送る俺を、よくもまぁ見捨てずにいれるものだと感心する。 「なぁ、春川。」 「やだ。」 「まだ何も言ってねえじゃん。」 「聞かなくてもわかる。やだ。」 子供のように駄々を捏ねる俺に、ハァッと溜め息を零し、部屋の掃除をやり出した。 学校が終わると必ず来て、飯を作ったり、洗濯したり、掃除したり…最初は、通い妻か!と思ったが、最近では介護のようにも思えてくる。それだけ、自分がダラシない生活を送っているという事でもあるが。 「お前さぁ、いつまでもこんな廃れた生活送んのやめろよ。貯金も、そろそろなくなるんじゃねえの?」 「まだあるから平気だ。」 「いずれはなくなるもんだろうが。」 なんか今日は、ヤケに口うるさくてイライラする。文句言うなら来なきゃいいのに。 「なくなる頃には、死んでるっつーの。」 何気ない一言だった。 似たような事を、いつも言ってた。 「っいい加減にしろよテメェ!!」 だから、急に怒鳴り出した千都世が意味不明だった。

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