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「…何急にキレてんの、お前。」 床に寝そべりながら、チラリと千都世を見る。 いつもの困ったように笑う千都世は、そこにいなくて。 「いい加減にしろ。」 「……何泣いてんの、お前。」 眉間にシワを寄せ、ボロボロと泣き出す千都世がそこにいた。 「なんでお前はそうなんだ。」 「なにが。」 「好きなくせに。」 「だから、なにが。」 「しらばっくれてんじゃねえよ!琥太郎の事に決まってんだろ!」 "琥太郎"という言葉に、俺の手がピクリと反応する。それを千都世は見逃さなかった。 「好きなら、何してもいいのか!?あんなに傷付けて、関係断ち切って!てめぇ、琥太郎の気持ち考えた事あんのかよ!!」 「うるせえ!!」 怒鳴り散らす千都世を、今度は俺が怒鳴る。 床に這いつくばってた体を起こし、千都世を睨み付ける。 「うるせえんだよ、さっきから!好きだななんだの、お前に関係ねえし!お前に何がわかんだよ!?何もわかんねえよな!お前は!俺じゃねえから!!」 イライラとモヤモヤと、心の中にあった黒くてドロドロした感情が、言葉を吐く度に溢れて。 「俺が決めた事に、いちいち口出しすんじゃねえ!それが気に入らないなら、俺に会わなきゃいい話だろうが!!捨てても捨てても付いて来やがって…!目障りなんだよ!!」 ずっと溜め込んでたやり場のなかった感情を、千都世にぶつけた。ハァッハァッと肩で呼吸すると、千都世はグッと唇を噛み締める。 「…チッ、わかったら、とっとと出て行…」 「お前が決めた事だから、口出すんだろうが!このド変態野郎ォ!!」 「は、はぁっ!?」 言い過ぎた自覚はある。だから一瞬、言い過ぎたかなって焦ったけど、これであいつが離れてくれるなら、それでもいいと思った。 だが、俺の言い放った言葉を気にも止めていないような千都世に、逆に戸惑った。

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