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「どっちにしろ、琥太郎は泣く。じゃあ、より涙を流さない選択を、お前はすべきだよな。」 「…っぅ、」 「琥太郎に会ってこい。そんで、今までのこと謝って、本当の事、本当の気持ち…話して来いよ。」 「ち、とせ……っ、」 「あーもう!いつまでも泣いてんじゃねえよ、気持ち悪い!!ほら、涙拭けアホ!」 「うっ、」 千都世は、指で乱暴に俺の涙を拭き取った後、背中を押して、俺を外へ出した。 「俺はここで待ってるから、行ってこい。」 「千都世…、」 「ん?」 「……ありがと。」 目を逸らしながら小さく呟いて、俺は走り出した。 小さくなる俺の背中を、千都世は眺めていた。 「ふはっ!ありがとうって柄じゃねえ〜!…でもこれで、迷わなくて済むな、春川。 迷わせたのは、病院で会った時、強く言えなかった俺の責任でもある。 面と向かっては言わねえけど、俺はお前の幸せを願い続けてるんだぜ?」 だから、自分の運命を簡単に諦めないでくれ。

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