18 / 47

Memory:18

「琥太郎、あっちに行っ…」 「琥太郎ッ!!」 俺が来たことすら知らせまいとする如月を遮り、大声で名前を呼ぶ。如月相手は絶対に無理だから、これは一か八かの賭けだった。 「は…る、かわ…?」 琥太郎が相手なら、まだ勝算はある。 「お前ッ、また琥太郎を傷付ける気か!」 琥太郎なら、きっと……。 「頼む、少し!少しでいいから、俺の話を聞いてくれ!大事な話が…っ」 「…って、」 「え……?」 「か、えって………。」 だが、如月の背後にいる愛しくて堪らなかったその人は。 「こた……」 「あいたくない……っ!!」 弱々しく、でも、激しい拒絶を俺に見せた。 「…琥太郎の名前を呼ぶ権利がお前如きにあるわけがないと、そのカラッポの頭に刻んでおけ。このドクズが。」 琥太郎がバタバタと二階に上がっていき、最後に如月がそう吐き捨てた後、扉は固く、固く閉じられた。 会って話す決意を決めたが、琥太郎が会ってくれなきゃ意味がない。 「……そうだよなぁ……。」 千都世に言われて気が付いた。 でも、それは全て遅すぎたのだと、琥太郎に会って思い知らされた。 「………ほんと、遅すぎ…っ、」 汗で額にへばり付いた前髪をくしゃらせ、しばらくその場に座り込んだ。

ともだちにシェアしよう!