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「ま、さか…それって…っ!」 「…ああ、突っ返されたって帰ってきたな。」 「……っ、」 思い当たる節があるようで、琥太郎の顔は青ざめていく。でも、その時のお前の反応も、仕方のないものだった。 「その事に関しては、春川の行いが悪いせいだから、琥太郎が気に病むことじゃねえよ。」 「で、でも…っ!」 「あの日、春川は落ち込んで帰ってきたけど、それから暫くして、お前が笑ってる姿を見たって言ってた。そん時に、この事はもう琥太郎に言わないって決めたらしい。」 馬鹿なやつ。本当は怖いくせに。 「お前を、これ以上傷付けたくないんだと。やっと笑えるようになったお前を…如月になら任せられるって、思ったんじゃねえの。」 「っな、んで……、」 誰よりも、自分が死ぬ事が…。 でも、それを口に出さなかったのは、自分の感情に蓋が出来なくなるからだろ? 「春川は、ずっとお前の事考えてた。お前を傷付けて、泣かせて…けど、あいつも一緒に傷付いてたんだ。…でもそれが"仕方ない"で済む話じゃない事はわかってるし、許してやってとも言えねえけど。」 死ぬのが怖いと、死にたくないと口にしてしまえば、どうしても生きる未来が欲しくなる。 我慢して手放したものを、全部取り返したくなる。 けど、そんな我慢ばっかりな余生を俺は送って欲しくない。 「この話も、聞いたからって別に会いに行けとは言わねえ。…ただ、全てを知った上で、もう一度琥太郎が決めて欲しい。事実を知らないまま、春川の事恨んでほしくないからさ。」 だから、お前が諦めたものを、少しでも俺が救ってお前に届ける。例えそれが、形のないものだとしても。 「春川の新しい住所、知ってんの俺だけだから必要なら俺に聞け。 …じゃ、行くわ。時間取らせて悪かったな。」 ヒラッと片手を上げ、教室から出て行こうとした。 『やっぱ如月と、もう一度話がしてえなぁ。』 「…あ、そうそう。如月。」 「あ…?」 「『ずっと琥太郎のそばにいてくれてありがとな、感謝してる。けど、琥太郎は俺の事大好きだから六年分は頑張れよ。』」 「………。」 「…ハハッ、酔った春川からの伝言!じゃあな。」 全部話したってわかったら、俺の事信じてた春川は、やっぱ一番最初に怒るかな。

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