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『琥太郎へ。 付き合って数年経つけど、手紙を書くなんて初めてだよな。最初で最後の手紙が、こんな形になってごめん。 この手紙を読む時は、俺はもうこの世にいなくて、それを琥太郎が知った時だ。だから、この手紙がお前に届かない事を願う。…けど、もし届いてしまったら、ちゃんと最後まで読んでほしい。 まず、病気の事を言わず、たくさん傷付けてごめん。俺がいなくなった後の事を考えると、死ぬ事よりも、泣き続けるお前のが怖くて、どうしても言えなかった。本当に、情けないと思う。 親に捨てられ、悪い事をしないと生きられなかった俺にとって、自分の人生は最悪なものでしかなかった。けどお前と出会って、そんなに人生は悪くねえって思えるようになったんだ。…そんなお前を傷付けたから、今この結末になってんだろうな。自業自得だ、本当に悪かった。 最近、笑ってるお前を見たよ。すごく安心した。これなら俺がいなくてもやっていけるって勝手に思った。まぁ、こんなのも、ただの自己満だな。 お前の事だから、きっと自分を責めてると思うけど、これは俺が自分で選んだ道だから、お前が悔やむ事でもなんでもねえ。 だから、俺の事は忘れて、ちゃんと幸せになってくれ。…お前は今、どんな顔してる?ちゃんと笑ってるか? 俺は、太陽みたいに笑うお前の笑顔がすごく、すごく大好きだ。如月も、そんな温かくて優しいお前に惹かれたんだと思う。 本音を言えば、これから先もずっと一緒にいて、喧嘩して、仲直りして、辛い時は励まし合って…お前と笑って生きていきたかったよ。それくらい、俺にとってお前は、大切で特別な存在なんだ。 だからもし、今好きな奴がいたら、迷いなくお前の気持ちをぶつけてやれ。そんで、そいつの事を全力で愛してやれ。自分の気持ちに蓋をするな。お前の愛は凄いって、俺が一番よく知ってるから。 必ず、幸せになれ。 俺の事、たくさん愛してくれてありがとう。 死ぬ瞬間まで、俺は世界で一番琥太郎を愛してたよ。 春川 』

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