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Memory:42春川 in the Moon

「う……っ、うぅっ、」 読み終えた俺は、その場で蹲るようにして泣着崩れる。 ずっと、ずっと考えてたんだ。 一人で抱えて苦しんでた春川を、誰よりも信じてあげなきゃいけなかった俺が、それを諦めてしまった事…、決心して会いに来た春川を追い返してしまった事……、悔やんでも悔やみきれない程の時間を、俺は今でも…。 春川は、そんな俺と一緒にいて本当に幸せだったのかとか、一生わからない答えを探さずにはいられなかった。だから、後悔と罪悪感を抱えて、俺は三年間生きてきたんだ。 「はるかわ…っ、はるかわぁ…っ!」 でも、三年前のあの日、春川が死ぬ瞬間…俺は言えた。一緒に過ごす日々の中でも、これでもかってくらい、春川に気持ちを伝えてた。 『死ぬ瞬間まで、世界で一番琥太郎を愛してたよ。』 春川の気持ちに、俺は応えられていた。 春川が一番言って欲しい瞬間に、一番言って欲しい言葉を、俺はあげる事ができたんだ。 『お前の笑顔は、太陽みたいだな。』 ねえ春川、俺…もう大丈夫な気がする。 「…っ、俺もすごく幸せだった、だからもっとたくさん…っお前の分まで幸せになるっ!」 『春川が大好きだった頃のお前に、戻れるといいな。』 「だから、ちゃんと月から俺の事、見守っててね…、春川…っ!」 窓から見えた丸い月は、いつもより輝いて見えた。それはまるで、春川が笑ってくれているようで……。 「俺も、世界で一番春川を愛してたよ!」 それに応えるかのように、俺は笑ったんだ。 -春川 in the Moon : FIN-

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