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「お前もう酔った?顔赤いぞ?」 「え…っ、」 そんなに飲んだようには見えなかったが、変に酔うと明日に響くと思い頬に触れた。体温は少し熱いくらいで、目も少し潤んでいる。 「あんま無理するなよ?」 「ぁ、うっ、ち、とせ…」 「あれ?時雨先輩?」 直視する俺に琥太郎が目を伏せた時、背後から聞き慣れた声が聞こえた。 スッと手を引いて振り向くと、数時間前まで一緒に残業していた部下が、手を振ってこちらへ向かってくる。 「なんだ、お前も飲みに来たのか?」 「はい、誘われて…。あ、あの、先程はありがとうございました…!ご迷惑ばかりかけて、すいません…!」 「いいよ。すぐに出来るやつなんていねえし、俺が世話できる範囲だったらしてやる。」 また頑張りな、と何気なく部下の頭を撫でる。すると部下はビクッと肩を震わせ、徐々に顔を俯かせていく。 「…っと、これはセクハラになるか、悪い。」 ハッとして、慌てて手を引っ込めるが、時すでに遅し。 「い、いえ…っ、あ、あの、失礼します…!」 「…おお、また明日。」 カァ〜ッと顔を真っ赤にさせて、バッと頭を下げ、バタバタと戻っていく部下を見て溜め息を零した。 「…やっちまった。」 年の離れた妹を撫でるのが昔からの癖になっていて、ついつい手を伸ばしてしまう。 今の反応…完全に…。 「千都世…、」 「ん?ああ、悪かったな。飲み直そ…」 「千都世、あの人のこと好きなの…?」 明日から少し距離を置かないと、と考えながら琥太郎の方を向くと、琥太郎は何故か眉を八の字にして俺を見ていた。 「千都世は……。」 なんだか不安そうな顔をしながら、俺の名前を呼んで固まる。 「…琥太郎?」 「…っあ、や、やっぱ、なんでもない…!」 心配になり琥太郎の名前を呼ぶと、ハッとしてブンブンと顔を横に振り、残ってたビールをグビグビと飲み出す。 「お、おい、そんな一気に飲んだら…」 「…っきゅ〜…。」 「あーあ、言わんこっちゃない…。」 琥太郎はパタリとテーブルに突っ伏し、そのまま寝てしまった。 「なぁ、琥太郎…。」 スヤスヤと眠る琥太郎の髪に、触れてみる。 柔らかくて、綺麗な黒い髪。 「…その反応、期待ちゃうんだけど、いい?」

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