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第264話

お兄さんの秘密 19 ( 和也 ) スマホの通話を切ると俺はすぐタクシーを止めた。 行く先は杏果から聞き出した辺りまで行ってもらう。 コウが連れ去られた?どういうことなんだろう……昔の関係が切れてない? 心配で頭が痛くぐちゃぐちゃになってるが少し整理しないと。 教えられた渋谷駅から少し離れた街区で車を降りる。杏果に電話をかけようとスマホをら取り出すと前から見知った顔がやってきた。 「 君は……」 「 あ、団さん 」 顔を見合わせると同じ用件でここまで来たということが伝わって来た。 「 洸紀がこの辺のビルに居るって連絡が来て 」 「 俺も今、杏果と連絡取ろうとしてたんです。ビルの名前まで聞かなかったから 」 「 おそらく関係あるのはこのビルの隣だろう。ファッションビルに入ったとも思えないから、後ろに繋がってるこっちだろうな 」 スタスタと正面の派手な看板が並ぶビルから奥の道に入っていく団さんの後を追った。 「 見てみろ」 上に目線を促すと5階辺りに渡り通路がある 。 「 あそこで前のビルと繋がってるんだな」 このビルで間違いなさそうだが、オートロックを解除させないと入れないしエントランスな辺りを見ると黒塗りの車がない何台か路駐していた。 「 そろそろお帰りなのか 」 「 誰がです?」 「 君のよく知ってる男さ、多分な 」 団さんは意味深に俺にそういうと、杏果くんに連絡して中に入れるようにしてくれと俺を促した。 このビルだと確信してるようだ。 杏果に連絡するとビルの名前とエントランスで押す部屋番号を伝えて来たので、さも住人のような顔をして黒塗りの車の横を通った。スモークガラスが貼られた車が4台。中には人が乗っていそうだが様子はわからない。少し後から俺の後を付いて来た団さんはどこかに連絡したようだった。 「 助っ人頼んだよ。メンバーが足りなさすぎるから 」 やはり今夜何か起きるんだろうか?コウに危害がないといいと思いながら俺はビルの名前を確かめて、ゲートのパネルに部屋番号を入力した。かすかなピンポンという音と共にキーの解除される音がして俺たち2人はドアを抜けるとそのままエレベーターで5階に上がった。

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