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第268話

お兄さんの秘密 23 団さんに別の出入り口を聞かれると、 「 ああ、地下駐車場からも出られる 」 照さんの説明を聞いて団さんが慌てて部屋から出て行った。 「 さて、どうしよう?彼は録音のコピー取らずに出てっちゃったけど、王国が預かっとく?」 その言葉で俺はあることを思い出した。 そうだ、団さんから前に預かったものがあった。中身はなんだったんだろう?急に確かめたくなった。 「 俺、コピー貰ったら帰ります。杏果一緒においで!」 そう言うと杏果は嬉しそうに、 「 うん、僕は着替えてくる 」 と部屋を飛び出した。今度は帰れと言われなかったのが嬉しかったんだな。本当に可愛いやつ。 今晩は大変なことになりそうだから抱き合えないけど次は絶対に。力を込めたガッツポーズを前に座っている彼女にしっかりと写メ撮られていた。 「 ちょっと、なに撮って、、、 」 「 王国さぁ、それより僕は杏果ちゃんのあの姿に、すごいそっくりな娘知ってるんだけど 」 苦笑いしながら照さんが俺の言葉を遮った。 あれ?照さんて杏果の女装のこと…… まだ知らないのか。俺も知らんぷりしといた方が良さそうかな。 「 へー、他人の空似でしょ 」 と一応その場は誤魔化した。 和也さんも一緒に行くと言うのでお礼を言って照さんのところを後にする。地下の出入り口から出てみようかと話になって地下に降りると、なにやら争う声かしてきた。 急いで地下駐車場に出る扉から外に出てみるとそこは黒塗りの車が4.5台とその前には……パトカー? 警官とその前には男の姿が見える。なに?と思ってよく見ると、一際目立つ姿は俺の店に良く食べにくる佐賀さんじゃないか。 「 君たち、下がって、この先はダメだ 」 年配の警官が近づこうとした俺たちを牽制する。 でも、佐賀さんの背後に兄貴の顔が見えてるんだ! 改めて見回すと、赤色灯の回っているパトカーと何人かの警官が黒塗りの車の周りを取り囲み辺りは騒然となっていた。兎に角車の方には近づけまいと警官が2人立ちはだかる。 「 兄貴!」 和也さんの制止も聞かずに大声を上げた俺に、 「 え?君は関係者か?」 と警官に顔を覗き込まれた。 ちょっと来てと肩を掴まれる俺の目の中で杏果の不安そうな眼差しが揺れている。 「 あ、こいつは俺の弟ですから 」
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コメント
2件のコメント ▼

頑張る💪 オトコは事件が起こると猛っちゃうから、アソコが!w

あぁ、いろんな意味で波乱の展開が起こってる… やっぱ今夜はダメだよね!? うんうん、次は動けないくらいに…💕 頑張れ!王国っ💪

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