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第276話
お兄さんの秘密 31
細くしなやかな身体を腕の中に強引に収めると、え?と不思議そうに緩んだ口元。
頤を軽く持ち上げてゆるく開いた唇に滑った舌を入れて、温かい口腔をしゃぶりあげる。
いやダメと言うように抵抗して左右に流れる腰を片腕で強く縛りそのままベッドに押し倒しすと、
杏果の強くもない張り手が俺の頰に飛んできた。
「 ダメ!もうダメ 」
ダメじゃないんだよ、杏果。
おふくろにバレる前に、
俺は雄になるよ。
暴れる手首を片手で使える掴むと杏果の撒いているミサンガが指に触れる。俺の足首とお揃いの杏果が徹夜して編んだミサンガ。
そのミサンガにキスをする。
「 抱きたい。杏果。抱かせて。
不安なんだ、お願い 」
卑怯だということはわかってるけど、どうしても今身体を溶かしてしまいたい。俺のものだと印を付けたい。
肩を上下させ烈しく息をしている杏果が大人しくなる。
「 手を外して……」
紅くなった手首から指を離すと、ミサンガの蒼い編み込みが冷静になれと語りかけてくる。
「 王国、キスから始めて 」
泪をいっぱい貯めた瞳で俺に近づく唇は噛み締めたのか赤味が増している。
俺の冷たい唇に杏果の甘く暖かい唇がそっと触れる。
空いてる指をお互いに絡め指先から温もりが這い上がる。
" 心あっためる、そんなセックスをしなさいね "
とサンドラさんに叱られたことを思い出した。
愛してるよ。愛してる心をお互いに渡し合う。俺と杏果はそうやって行くんだよね。
絡み合う心と身体をより近くに導きながら、口付けの跡に指を這わせる。吐息をそのまま杏果の肌に塗り込めながら、感じるポイントをついていく。鳴き声が喜びの喘ぎに変わるのは直ぐだった。
「 あ、アン、そこ、ばっかり、王国 」
王国、と俺の名を呼ぶたびに融ける身体が愛おしい。汗ばんでシットリとした乳輪の産毛をザラリと舌で舐め回せば、男の乳首がピクリと自己主張する。
「 可愛くツンツンってとんがってる、舐めてもいい?」
柔らかくシーツに擦れる髪を振りイヤイヤしながら、
「 聞かないで 」
と応えて、自分の指でそっと乳首を捩る姿はニンフのように艶やかだ。
「 どこでそんなことするの覚えた?悪い子 」
摘んだ乳首をその指の上から舌で転がしてやると、眉が綺麗に顰めら潤んだ瞳が激しく揺れた。
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