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第278話

お兄さんの秘密 33 次の朝、起きるともうオヤジとオフクロは警察に行った後だった。 いつもよりもっと口数の少ない姉貴にどこの署?と聞くと、 「 あぁ、佐賀さんに電話して確かめていたから、渋谷署よ 」 「 どのくらい前に?」 「 うーん、1時間前かな 」 「 今日店はどうするの?」 「 休むわ、でも出前はやるってコウさん言ってるから、私は出るけど 」 そうか、と言いながら寝る前に見た映像を思い出す。 あのこと団さんに聞かなきゃなんないな、 飯食ったら連絡してみよう。 兄貴に作ったおにぎりが多めに作って置いてあった。オフクロが握ったおにぎり、久しぶりだ。二回続けてのおにぎり、それを杏果と二人で頬張りながら味噌汁を飲むと、兄貴が連れていかれたことが夢みたいに思えた。 考えもしなかった事がこの2日間で起こってるんだ。 姉貴が店に行くと、食卓の上を片付けてくれていた杏果をつれて部屋に戻る。 「 この画像のこと、団さんに連絡してみるよ。どうすればいいのかわからないし、このままじゃ ……」 話が続かない俺の頰に杏果の手が優しく触れる。見つめあってキスを交わすと、俺は団さんに連絡をした。 しばらくコール音が続く、我慢して待っているとようやく団さんの声がした。 「 もしもし、おう、王国か 」 「 うん、そう……」 「 元気ねえなぁ、ちゃんと休んだのか? オヤジさんオフクロさんは渋谷署に来てるんだな?」 「 え?団さんも警察に ?」 「 あぁ、心配でな、 それとちょっと待って、今署内だから外に出る。かけ直すから 」 通話は切れた。 団さん、警察にいるらしい と杏果に告げると、杏果も 「 今和也さんから、ライン入った」 「 なんて?」 「 渋谷署だと思うから向かってるって 」 そう話してる間に団さんから連絡が入った。 「 王国か、今あいつ、議員は出てきたぞ 」 「 え?兄貴は?」 「 わからねぇ。 黒塗りの車が入ってきたから、知り合いに確かめたら、あいつの方は帰るらしい 」 団さんが誰かと声高に喋ってる声が聞こえる。 逮捕、現行犯?聴衆されてる ものものしい単語が途切れ途切れに聞こえてくる。 スマフォを耳に押し付けている手の震えが止まらない。 あっ!出てきたぞ! という声が聞こえた。 「 団さん!誰が? 兄貴じゃないの? 」

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