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第291話

お兄さんの秘密 46 (杏果 ) 「 恍紀、少し話したい。いいか?」 と聞くと小さく頷く。 「 ここでまともな生活を取り戻したお前が、何でまたあいつの所に出入りするようになったんだ?」 恍紀さんが出前に行った先での出来事を話し始める。運命ってそういうものがあるなら、これはそうなんだって思った、と締めくくった恍紀さんを団さんが怒鳴りつけた。 「 馬鹿野郎!そんなもの運命は運命でも運が悪かった方じゃねぇか!なんだって又同じことやらされてんだ、そんなにあいつになんかあるのか?」 噛み締めて紅くなっている唇を震わしたまま、目を瞑ってしまった恍紀さん。 「 コウ、俺を覚えてる?」 そこに場違いなほど優しい和也さんの声が聞こえた。その声にゆっくりと目を開いた恍紀さん。 「 カズ 」 「 覚えてたんだ、良かった 」 「 なんでここに?」 「 俺、偶然ここの店に入って厨房の中で働いてる君を見て、コウじゃないかって。それで昔のこと謝りたくて 」 「 謝る?」 訳がわからないという顔をしてる恍紀さんに和也さんが続ける。 「 あの事件の時に君を一緒に連れて出れば良かったって、俺は君に助けられたのに。ずっと後悔してた 」 「 良かった、カズ無事だったんだね良かった 」 そう呟いた恍紀さんの横顔は本当に安堵した表情をしていた。 「 団さん、ごめんなさい。王国にもごめん。 でも、俺は後悔はしてない 」 そうはっきりと言い切った恍紀さん。 団さんは深々と溜息を吐く。 「 バカだ。 俺は9年前のあの記事を書いてから取材妨害や脅迫は日常茶飯事だ。部屋も荒らされるからしょっ中寝ぐらも変えている。そんな事をする奴らなんだぞ 」 「 団さん、俺が預かってるアレも狙われてるの?」 「 ああ、俺のところだといつやられるかわからないから王国に預けたんだが、恍紀がこんなことになった以上ここも知られる可能性があるしな、今日引き取っていくよ 」 「 それなに?なんのこと?」 「 相澤京司が関わってるって証拠の画像だよ 」 恍紀さんの顔色が一瞬で蒼ざめた。 「 いいか、恍紀。今回なんかの圧力で起訴は免れても社会にこの証拠が公表されたらもう相澤京司は終わりだ。 下手をしたらお前にも 」 「 俺はいいんだ!団さんお願い出さないで! 」

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