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第297話

お兄さんの秘密 52 (杏果 ) 乗ったエレベーターは7階に直通だとわかったのは7階のホールに到着してからだった。 「 最上階は特別なフロアなんです。ここには選ばれたお客様しかいらっしゃれません 」 その言葉に昨夜のセレブたちの捕り物騒ぎを思い出した僕と王国は顔を見合わせた。 ひょっとして、ここもやばいクラブ? その不安が顔に出ていたのか、 「 ご心配なく。昨夜の騒動との関わり合いは"一切ない"場所ですから 」 と丁寧にいなされた。 なんだかこの性別不明の人との会話は気まずい。どこまで知ってるんだろうかこの人は。 「 この階は隣のビルの5階と繋がっております。なぜかと言えば…… 」 ウンウンと頷いて聞いていたのにどうしてそこで言葉が途切れるの? 彼女彼の方を思わず振り返る僕と王国。 『 バッチーン! 』 「 うわぁ!」 「 喋りすぎ 」 頭を抱えた彼女彼の横にはデッカいハリセンを持った虹色のローブを纏ったサンドラさんが立っていた。 「 益々パラフルなゲテモノだな 」 横で呟いた王国にも勿論ハリセンは降ってきた。 「 よくきたね、杏果〜〜 」 僕だけは優しくその全くない胸に抱きしめられる。 「 サンドラさん、普通ローブ着てたら持ってるのは鞭か斧じゃないの?」 「 お望みとあらば用意させるけど。 あの二つは重いのよね、ハリセン軽いし 」 と、笑いながらハリセン持って、 奥へ行こう!って言うサンドラさんになんかとっても安心した。 ぶ厚い絨毯が敷かれた廊下は所々に豪華な扉がある。 「 ここはなんのクラブ?」 と言う王国の質問に、 サンドラさんの強烈な一言が降ってきた。 「 ヌーデイストレストラン 」 「 ?え? 」 「 だから、ヌーデイスト レストラン 」 「 聞き間違いじゃないよな…… 」 「 ほーらご覧 」 と後ろを向いたサンドラさんが虹色のローブの前を開くと、 中は白ウサギのようなマッパそのものだった。 「 わかった? 」 と言うサンドラさん。 その前を歩くさっきの彼女彼が、一番奥の部屋の両開きの重そうなドアを物々しく開ける。 そこはジャングル、正にジャングルの中を再現したような色とりどりの花、色とりどりの果実。 天井、壁、床、全てがグリーンに覆われた世界。 僕と王国は暫くその異観に声も出なかった。

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