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第298話
お兄さんの秘密 53 (杏果 )
「 これ全部造花、偽物のグリーンだから安心して虫なんて全然いないから 」
「 でもこの香りは?」
「 よく気がついたね〜この香りはA Iで分析させて配合したものなのよ!
食欲と性欲を刺激するね〜どう?」
輝く虹色のローブを自慢げに広げるサンドラさん。森の中に住む翡翠にも似たその様子、広げたローブから漂う抗いがたいその香り。
「 綺麗…… 」
と呟く僕。
「 ここがレストラン?本当に?」
香りにあてられたのか顔を少し紅潮させた王国が尋ねると、
「 そう、でもその格好じゃサービスしてもらえないわよ。ちょっとこっちに来て 」
連れてこられたのはオレンジ色のサテンのカーテンに覆われた部屋だった。
所々に置いてあるカウチにはそれぞれ色々な色の布が置かれている。
「 さ、二人とも服脱いで 」
「 え! 」
「 脱いだ服はそのままでいいのよスタッフがちゃんと預かるから。ヌードになったらマスクかローブかどちらか選べるの。
つまり顔を隠すか身体を隠すかってことね。でもローブは前が閉まらないから結局チラチラ見えちゃうんだけどね〜ハハハ 」
「 何がハハハだよ!俺たちは話… 」
「 まあまあ話は聞くわよ、その前にここのシェフ、ニューヨーク帰りで超いけてるんだから食べてから話しましょ 」
やっぱりサンドラさんだ。何かはあると思ったけど何回かの押し問答も虚しく押し切られて結局裸になってご馳走されることになった。
なんでサンドラさんには逆らえないんだろう?
王国はマスクで全裸、僕はローブで顔は出すことになったけど王国が散々悩んでる。
「 杏果の全裸は人には絶対に見せたくないし、この可愛い綺麗な顔でチラ見ヌードとか余計に心配だし、究極の選択だ 」
「 あら、杏果の素敵な裸体をみんなに見てもらって羨ましがられるのも彼氏として男冥利に尽きるのに。あんた本当に硬いわね 」
「 あんたのその発想ついていけない……みんなって、他にもいるのかよ 」
「 ええ、と、何人だっけ?」
横の彼女彼に人数を尋ねると、能面のような顔で総勢六人でございます、と答える。
「 え?俺たちの他に3人も杏果の身体を見る奴がいるの?」
「 はい、殿方ばかりですからご安心ください 」
パッコーンとサンドラさんのハリセンが炸裂した。
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