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第303話

お兄さんの秘密 58 (杏果 ) 「 まぁ、日本のフードビジネスの最先端をアジアで反映できるかって事で来ているから、今回思い切って連れてきた。多分アジアの諸国はおおよそ日本よりこういう道徳観念は宗教上しっかりとしてるから、二人がこの企画、どんな顔するかと思ってね 。でもすんなり裸になってくれたから、嬉しいよ 」 笑いながら結構過激なことを言う照さん。 「 アジアの人って、日本どう思う? 裸で食べるレストランはなかなかないのに、売春ツアーで旅行には行くのよね〜 どう?、その感覚 」 どうしたの?サンドラさん。 自分のとこで許されないことを他人の国でやってくる、確かにそうなんだけど。 「 アジアといっても国ごとに宗教も習慣も違います。簡単には日本人に対してその価値観がどうのこうのとは言う人はいないと思う。それぞれの価値観が違うことがよく分かっているし、そこを大切にしないと共存していきません 」 田中さんがそういうと、山田さんも頷く。 「 フレンチ、中華、イタリアンにエスニックはては無国籍料理まで。 日本って他国の料理を取り入れるのはとても熱心だけど、 価値観の違いは受け入れないのよね 。 三大欲求には素直。でもそこから出られない。 小さな日本の常識なんかに縛られずにそこから出るものを認められたらもっと大きな世界が待っているのに! 私はそこをなんとかしたい、 三大欲求の中でも食欲、美味しい素晴らしいものを食べる。 そして価値観の解放。 服を脱ぎ裸になるなんて一番の価値観崩壊でしょ? これを合わせることで今までの自分から解放させる。 この企画のコンセプトなんだな〜 」 そこまで楽しそうに一気に喋ったサンドラさんはスープの皿が運ばれて来ると歓声をあげた。 「 紹介する、今日の食材の造形家、 大河洋行シェフです! そして、スープは? 」 「 林檎とゴルゴンゾーラのスープです。 濃厚なゴルゴンゾーラに酸味の強いリンゴを使ってあります、奥深い風味を舌と香りで楽しんでください」 仄かなリンゴの香りとチーズの濃い風味の匂いが食欲をそそる。 大河シェフが黒いブリーフの上にコックコートをきっちりと着込んでサンドラさんに思いっきりからかわれている姿。その微かにはにかんだ横顔はまるで食べ物屋の店先で好きなものを食べる子どもみたいな笑顔だった。

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