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第314話

お兄さんの秘密 69 (杏果 ) テロップの流れたバラエティのスタジオから場面は冷たい背景を背負ったアナウンサーに変わる。 「 本日午後より記者会見予定だった元衆院議員 相澤京司さんが、自宅出て車に乗ろうとしてところを何者かに襲われました。 救急車で都内の病院に搬送された後、その後の経緯などはまだわかっていませんが、襲った犯人はその場で取り押さえられたという事です。 もう一度繰り返します……」 テレビから同じアナウンスが流れてくる。 僕はショックでそして皆一様に言葉が出ない。 「 団さんは◯尾病院に搬送されてる。そこに恍紀も一緒に行ってる 」 お父さんの言葉に我に帰る。 流星は僕の腕を掴むと、 「 行くぞ 」 と僕を店の外に連れ出した。 足も腕も全部に震えがきてる。泣きそうな僕の頰を両手で覆うと、 「 しっかりしろよ!病院に行くぞ 」 と僕にメットを被らせた。 「 しっかり掴まってろよ、こっからだと10分で着くからな!」 流星のお腹にしっかりと腕を回して僕らは病院へと走った。 一階の受付で訊ねると、まだ救命救急センターにいるということで、その扉の奥、救急車で運ばれた場所にいるらしい。 警察官もいるかもしれないということだけどカーテンで仕切られている救急のベッドのある所まで入った。 カーテンの隙間から、ベッドの脇に座っている恍紀さんが見えその横に王国が黙って立っていた。 団さんは全身を包帯に巻かれて点滴がその頭上に沢山下げられている。 カーテンから覗いた僕らにびっくりした王国は、 「 オヤジに聞いてきた?」 と言葉少なに話すと、センター入り口付近のベンチまで僕らを連れて行った。 「 意識はまだ朦朧としてるけど俺らのことはわかったみたい。 後、団さんの家族だけど千葉にお兄さんがいるらしいからオヤジに連絡してもらった 。 それで?」 王国の目は不思議そうに流星に向けられる。 「 あ、そう、話せたんだ、それなら…… あのさ、あの、相澤議員が……」 ベンチに腰掛けた王国が口ごもってしまった僕を見上げる。 言葉が出てこない僕に代わり流星が口を開いた。 「 相澤って人、暴漢に刺されたってニュースが流れてる 」 「 え……嘘だろ、だって今日今から記者会見するって 」

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