8 / 325
第8話
強姦致傷容疑8
「でさ、家どこ?」
「い、い、いえ…
ここは、ここっ?どこ?」
「その先僕は誰?とか言いそうな感じだな」
「ここは吉祥寺で、飲み会で きみ はつぶれたの、俺がどこに連れてったら良いか今路上で困ってるところです。」
そう言うと、慌て身体を離そうとする三枝は、
かえってよろけて俺に抱きつく始末。
ホントこいつ笑えるわ。
薄笑いしてる俺に
「ぼ、僕の家、は、この近くです。」
「この近く?この近くって、歩けるの?ここから」
「自転車で3分くらいだけど、歩けます…」
「ん、じゃ送ってくよ。
まだフラフラしてるから」
ギョッとした三枝は
それでも迷惑かけたという意識があるのか、
大人しく、
「そ、それじゃ、…送って頂いた、あかつきには、お茶でも呑んで」とか
何とかゴニョゴニョ言いながら
今いる場所を確かめ始めた。
まだちょっとふらつく三枝を片手で支えながら家までの道を歩く。
お互いがお互いのことを知らないせいか特別言葉もないけど、俺の方は三枝の何やら考えてるのか、クルクル変わる百面相を、楽しんでいた。
「ここです。」
薄ぼんやりとした街灯の明かりの中に
ちょっと良い感じの風情のアプローチ。そしてその先には、粋な感じの背の高い玄関ドア。
ともだちにシェアしよう!