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第9話

強姦致傷容疑 9 「かっこいいね、三枝んち」 俺のうちはビルの一階のラーメン屋だから、当然、全然感じがちがうな。 「そ、そうかな…」 小さな声で、その後 ありがと と足していた。 抱えてたカバンのポケットから鍵を出して差し込もうとした時に、 ガチャンと中から扉が開いた。 「お帰り、きょう君」 出て来た人は 優しそうな眼差しの 長めの黒い髪の男性 うーむ、もしかしてお父さんかな? 「ただいま、 … どっかに行くの?」 「こんばんは〜」 「あっと、こんばんは、」 三枝君がもたもたしているから俺から挨拶するしかないね。 「僕は三枝君と同級の安藤と言います。 こんばんは 今日は三枝君を送って来ました。」 あれ?女の子でもないのに送って来たは変かな? とか思っていると、 「そうですか、それはありがとうございます。私はきょうかの父親の ヒロシ です。」 律儀な自己紹介に暫し3人に沈黙が訪れた。 「お父さんは今から駅までちょっと行く用事ができたから、出かけるから」 「うん、わかった。」 「今夜響子は帰らないらしいから、鍵は閉めときなさいね。」 「うん、わかった」 「先に寝てて良いからね」 「うん、わかった」 なんだよ、この可愛いやり取りは 思わず笑いそうになった俺に お父さんは 「安藤さん、それでは失礼します。 ゆっくりして行ってください。」 と丁寧な挨拶をくれて出かけて行った。 息子さん襲われるかも知れないのに と心の中で呟いたのが聞こえちゃったのか 一回振り向いて又丁寧に挨拶をして駅に向かって行った。 「お父さん、優しそうだね」 うちとは全然違うよ。 「そう、かな」 と言いながら 「上がってください」 とスリッパを出してくれた。 その、スリッパはレースの飾りやビーズがついてる。 周りを見回せば、カーテンもやたらフリルが多くて可愛いし、何か手作り感満載の雰囲気… ここは、不思議の国か… さっきの女の子たちの話を思い出した俺は 遠慮もせずに三枝に 「これって三枝の手造り?」 と聞いていた。

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