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第19話

まな板の上のお人形さんその1 しょうもない閑話 男専門の脱毛 有名人がツイッターで呟いたとかで、結構人気が出てきた。 それでも1日に10人くれば良いところ。 有名なお店だったらもっと混雑してんのかね〜 うちはターミナル駅の駅前から10分ほど離れたビルの3.4階で営業してる。 店の名前は ズバリ" メンズ脱毛サロン チェリー" たくオーナーは何を考えてこんな名前に、苦笑しかでないよね〜 でもこの名前がある筋には受けていて、来る人結構濃い人が多い。w そんなある日の午後に うちには全く似合わない1人の高校生くらいの子がやってきた。 ガラスの自動ドアの前で、やたらとモジモジしてるので、間違えて入っちゃったのか?なんて思い、 「いらっしゃいませ! ですか?」 と、人の良さそうな微笑みで声をかけてみると、 飛び上がらんばかりにびっくりした様子。 よく見ると、目の大きな、頰から顎のラインが細い、何気に可愛い顔をした少年と青年の間のような男の子だった。 「あ、あの、その、そ、の、 だ、脱、毛できるのは、ここ、こですか?」 すっかり紅くした顔を俯けて小声で尋ねる顔が、ウッとなる程可愛いね〜 「はい。メンズ脱毛サロン チェリーです。」 よろしかったら、ご説明だけでもさせていただけますと、嬉しいです。」 と、なるべく柔らかな声で応対する。 左右に揺れている俯いた眼差しを、楽しく観察していたら、 思い切ったように顔を上げて、 「姉、あ、あねに、脱毛に行くなら、ここが良いんじゃないかと、教えてもらって…」 (姉⁇お姉さんに相談したの?へー) 「あっ、違う、あのあの、知り合いの人に勧められたと言っていて」 言えば言うほど、訳が分からなくなって行くようだったので、 「ひとまず、入って見ませんか⁇個室でお話をお聞きする事ができますので」 カチンコチンと完全に固まった足取りながらも、 開いたドアから入ってきた。 兎に角、今日は閑古鳥泣き気味の日、朝から3人目の客だし、 ここは是非客になって貰おうと張り切りましたよ。

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