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第27話

母の日って ( 前編 ) 母の日って、うちでは姉貴の日。 お母さんが僕が13の時に死んだから それからは4歳上の姉貴が家事全般請け負ってくれた。 忙しいヒロシさんの代わりに自分の学校もあるのに、僕の学校にも来てくれて、まるで小さな母がわり。 母の日には姉貴にプレゼント贈ってる。 古くなった(姉貴の)洋服を使って小さな袋作ったり、そういえば、中学2年生の時に黒猫の刺繍をしたフェルトで作ったメガネケースを1番喜んで、 今でも使ってくれてる。(刺繍とかまだまだ下手だったし、黒猫だから何が何だかわからない糸の塊になったゃって、恥ずかしいんだけど) 今年の母の日も、 ショールをヘアピンレースで作った。 (これは編むのに1ヶ月かかった僕にしても手の込んだもの) プレゼントの用意はできてる。 夕方には姉貴も帰ってくるので 3人でまったりと、予約したレストランでご馳走を食べる予定。 響子姉貴は味にもうるさいから、レストラン選びも慎重に、 色々な人たちに聞きまくって決めました。食べに行ったことないところだから不安なんだ… それなら、いつものお礼の気持ちで男2人頑張ってご飯を作れは良いのだけど、どちらも料理が壊滅的に苦手だから、いたしかたありません。 そして、今日は昼前からお母さんの墓参りに来ている。 お線香をあげて、お墓の前でしゃがみこんで暫く手を合わせているヒロシさん。 横顔はとても40代には見えない。 黒い少し長めの髪がうなじにかかって、 うなじの白い肌が対照的に美しい… 男の人なんだけど、嫋やかで、優しい風情で、学校でもファンが多いって、 幼馴染みの栄祐(えいすけ)が言ってたな… すこし離れて、綺麗に咲いてるサツキの並木を眺めている僕の前を通り ヒロシさんに近づいて来た人影が、ふいにヒロシさんに声をかけた。

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