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第33話

キッスの日 その3 (記念日閑話休題) 大学が入るビルのエレベーターホールで、 後ろから、抱きつかれた。 「う、わ」 「おはよう、三枝」 「おはよう、安藤君」 「どうしたの?そんなに暑くないのに汗かいて」 飲み会の後、家まで送ってもらったのに、途中から記憶のない僕は 安藤君を前にするとどうも落ち着かない。知られたくない事を知られた気がする。 汗の原因がわかってる僕は 満員電車が暑かったんだよ と少し誤魔化す まさか、喋れる話じゃないよね、 朝から綺麗と言われた上にキッスの話で汗かいたなんて 降りてきたエレベーターに一緒に乗って、なんとなく今日の講義の話しをしてると、 メッセの届いたチーンという音。 なんとなく画面に目をやると 知らない名前の人からのメッセ 「え?誰?」 と声に出してしまった。 安藤君が横から僕のスマフォを覗き込みながら 「迷惑メール?」 「ううん、メッセの方」 講義室のある23階に着き、 廊下の隅で 小川智という名前のメッセージを開いてみる。 安藤君も興味があるのか、そのまま一緒に覗き込んでた。

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