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第39話

試着の日① それから何日か経った、 今日は試着の日。 あの合コンの時、送ってもらった日から、度々安藤君には夜誘われるんだけど、最近の僕は撮影会の準備に忙しくて、中々応じる事は出来ないんだ。 女装撮影会の事は知られちゃいけない。 安藤君は何となく、何か、を探ってるような気もするし、お茶を出した後の事を忘れちゃってる僕に何かを言いたげな所も気になるんだけど、今は仕方ない… 僕は授業の帰りに、 和也さんのマンションに呼ばれた。 2人ずつくらいで試着するらしいんだけど。 僕の場合は昔からこの体型で作ったものもあるから、簡単に1時間くらいで終わるらしい。 流星の友達も撮影会に来るのかと思うと、どっぷりと落ち込むけど、流星は黙ってくれてるって誓ったし、姉貴の化粧術はそれはそれは大したもので、高校時代も誰にもバレなかったから、そこんとこは安心してる。 20人のうち流星の友達が5人。 その中には、うちの大学で助手やってる小野さんも入ってるとか言ってた…嫌だけど、あの人は高校から姉貴の子分で腐れ縁だからしょうがないね。 姉貴の会社の同僚さんが3人(全員女の人らしい、ホッとした) 後の人は、知り合いの知り合い的な人たち、実際に女装したい人が4人もいるって聞いてなんとなく安心。 その中の1人は聞いても誰もわかんない人らしい。誰だろ? 和也さんの家は荻窪の少し古い一軒家。 元々ここら辺の出身の和也さんは、古い畳のある、この少し前の時代?昭和?の民家を気に入ってる様子で、いつも10畳と8畳の続きのある和室をフィッティングルームに使っている。 畳は素足に気持ち良いから、僕も気に入ってる。 それにぺたんと座れるからリラックスできるんだよね。 僕を入れて5人ほど、撮影会に出る人が集まってる。それぞれ、与えられた服に袖を通し、和也さんに調整してもらいながら、手持ち無沙汰な子は車座に座ってお喋りしてる。 その輪の中で、賑やかに色々な子に絡んでいるのは、流。 今日も長身にファッション雑誌からそのまま飛び出て来たごとくの完全に決めたスタイル。おまけに口は結構上手いから、どこに行っても人好きされるんだよね、僕と違って。 後から遅れて入った僕に、ワークキャップを目深に被った流星がふっと視線を流し目で寄越した。 なんかその視線、ゾワっとするんですけど〜

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