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第41話
試着の日 ③
三回の着替え中、隙あらば触る流星と周りにバレないように格闘し、
大疲れの試着がやっと終わって、
他の人たちは次の予定へと解散した。
珍しく流星も、その後は僕に絡むとなく、慌ただしく去っていった。
僕は和也さんの入れてくれた紅茶を啜ってホッと、ひと心地付いていた。
「お前来た時ずいぶん身がるだったけど、学校の帰りじゃないの?
何にも持たずに行ってるのか?」
「え?そういえば、ない、カバンがない…スマホも入っているのにカバンがない。」
「忘れた?、学校に忘れて来た〜〜」
「ばっかだなw」
あーん、面倒だけど取りに行かなきゃ、何たってスマホ入っているし。
「あーじゃぁもう僕帰りますね」
こんな時間じゃ、着替えてる暇もない。
守衛さんがドアを閉めちゃったら、入るのも大変になる高層ビルの中の学校。
流がもう既にどっかへ行っててよかった…
こんな女装のまま学校に戻るなんて、
バレたら何言われるかわかんない。
「え?着替えないで取りに行くの?
大丈夫か?」
と和也さんに心配されながらも、一応
姉貴たちにはこの事を言わないよう口止めをしておく。
わかったわかったと笑いながら送り出してくれた和也さん。
やっぱりこの4人の中では格段に良い人だ。
道道、カバンを置いたのどこだっけ、色々思い出しながら、戻った頃には学校はすっかり静まり返っていた。
幸いまだ、表の扉を閉める前、ビルの守衛さんの居ない按配を見計らって、急ぎエレベーターに乗り.学部室のある階に着く。
廊下にはダウンされた照明、人の気配のないことに女装の格好の僕はホッとしつつ、まっすぐ学部室へ向かう。
隣の準備室に薄く明かりがついている。
小野さんでも居残ってるのかと思い、考えなしに開けたドアの先には
窓に向かって佇む姿。
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