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第42話
閑話休題
曲者だらけのラーメン屋さん その1
10時の開店と共に
「ラッシャーイ」
「ラーメン、麺なし、シナチクタップリー飯大盛り生卵」
「なしチク一丁〜〜生卵」
いかにも仕事終わりました風情の
赤毛の短髪のにいちゃんが頼んだのは、なしてラーメン屋に君は?
ってなもんだけど。
うちではもっと変わったのが来るから
全然気にならない。
親父とお袋が町内の慰安旅行とかで
箱根に行ってるこの二日。
俺、安藤王国、が手伝う店は
でっかいターミナル駅から数分の商店街にあるラーメン屋。
一応ビルの一階なんだけど、それも親父が若い頃から働き通して、頑張って建てたビル。
土地はお袋の家のもんだったから、養子じゃない入り婿って感じかな。
スマフォ4、5台テーブルに置いて、1番安いラーメンにただのネギ山盛り乗っけるにいちゃん達、(詐欺?って、思ってたけど、単なるsns関連の広告屋さん達だったり)
鼻から口からピアスだらけのお姉さん、この人は朝から毎回レバニラ炒め大盛りなんだけど、何と、仮想空間のデルモなんだっけ?
マトモそうなリーマンも来るけど、
多いんだ、曲者系の人たちが。
見るからにわかる目つきの悪い刑事のおっさんも来る(これは親父の仲良し.何でも飲み屋でもよく会うらしい)
深夜食堂とかいうドラマ流行ったけど、うちは通常でそういう人たちが結構来るから。
親父の家の爺さんは彫り師だったらしいから、小さい時からの知り合いとか
微妙な人たちも繋がってんだよね。
彫り師が嫌だった親父は、高校卒業して飛び出して、住み込みで中華屋で働いたらしい。
顔はそこそこだし、おばあちゃんが浅草の芸者だったせいか妙な色気もあったんで、元々実家が定食屋をやっていたお袋に見初められて、今に至る。
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