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第43話
曲者だらけのラーメン屋さん その2
今日は、兄貴と もう20年選手になるベテランのコウさんと2人で厨房に入っている。
1年前に家を出ていた兄貴が戻ってきてから暫くは、親父と同じ厨房でギクシャクしてたけれど、今は兄貴に店も任せるようになってきた。
少し線の細い兄貴の横顔を見ながら、
兄貴、なんで家を出たんだろうなんて、今更ながら思っていると、
自動ドアが開いて、お客さんが入ってきた。
「ラッシャーイ」
「おう、おうこ、久しぶりだ、」
「お久っー、ダンさん」
長身でガタイの良い40絡みの、見た目完全に遊び人は、近くに住むジャーナリストだというダンさん。
俺が中坊くらいからの憧れの人。
「水餃子とビール!」
「仕事跳ねたんですか?」
いつもはあまりお客に直には声かけない兄貴が厨房から聞くと、
「いやいや、今たけなわ。
精力つけに来たんだわ。
おうこで充電できるしラッキ~だなぁ」
ニヤッとしながらおれのケツを撫で上げる。
「こら!」
ウシシと笑いながら、俺の出したビールで喉を潤す様は、少し日に焼けた、目尻に寄ったシワも男っぽくて、やはりカッコイイ。
「水餃子の次は
どうせニラ玉丼、半熟たまご乗せ
なんだろ?」
「おう、ニラ玉丼は味濃いめな」
何か、品書きにないもんばかり頼むんだよねw(うちは水餃子はやってないし、ニラ玉丼もやってない)
その、オーダーに平気な兄貴にも、
思わずため息。
昼前にフロア担当の姉貴が店に登場すると、待ってたかのように、ホストみたいなのとか、コスプレした?風な関係、が入って来る。
うちの姉貴は
一応皆それぞれ常連らしく軽ーく姉貴は挨拶してる。
ラーメンに生卵入れる奴(チキンラーメンと間違えてる)から、
ネギ苦手だからきゅうり入れろって奴。)冷やし中華じゃないんだけど…)
スープが熱いから氷くれって奴。
チャーシューの上からこれでもかと辣油かけてる奴。
最悪なのは(姉貴が言ってたけど、)
板チョコをスープに混ぜたのがいたらしい…
うちのラーメンはオーソドックスで麺のコシとあっさりとしていながら確りとだしの効いた汁で美味いのに、
なんだろ、姉貴のいる時間はこんなんばっかり来るんだから。
おまけにいちいちインスタにその画像アップして、
うちの店がおかしいラーメン屋みたいで、何気に迷惑なんだけどね…
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