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第44話
曲者だらけのラーメン屋さん その3
そうこうしてるうちにダンさんが、
「会計!」
と言って腰をあげると、レジに立った俺に、封筒を寄越した。
何?って思って顔を見たら、
珍しく真顔で、預かっとけ。
と言って出て行ってしまった。
混んでる店をほっとくわけにもいかないので、その封筒はGパンのポケットにいれたまま、夜まですっかり忘れてた。
上がって良いよ、という兄貴の一言で、階上の自宅に戻った俺、やれやれと思いながら風呂のためにGパン下ろした時に、あ、そう言えばダンさんに預かったもの。
とポケットから取り出した封筒を少し迷ってから、中身は確かめずに、ベッドのマットレスの間に差し込んだ。
何か、そんな場所に、そうしなくちゃならないと思った。
明日も授業後は手伝いだ。すぐ帰宅しなきゃならないし、寝る前にあいつの動向を抑えとくか、
とメッセした先は三枝杏果、と。
俺がこんなに男にハマるとは思わなかったよね、三枝君。あの夜から、あんまり警戒せずに俺の顔見たら寄ってくる様になった。送り狼しなかったのが正解だったわ。
《美味いパンケーキのモーニングの店見つけたから、朝8時半に荻窪駅な、待ってるから〜》
どんな顔して読むんだろう、
朝誘うのは初めてだから、あの大きな瞳を白黒させてるかもしれない、
ぐふふ…
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